運用力を鍛える英文法基礎【第3回】

01/29/2020英文法英文法, 不定詞, 動名詞, 目的語

大学別の個別試験のような記述形式の試験では、いくら知識があっても、その運用力がなければ上手くいきません。センター試験から共通テストに変わって、思考力・表現力・判断力を問われる問題がより一層増えることが考えられます。

これからの受験生にとって、運用力は大切な能力になるでしょう。応用力のある人は、知識を適切に運用できる運用力をもつ人のことです。たくさんの知識を蓄え、それを適切に運用できる応用力のある人になりましょう!

文法的に誤りのある英文を訂正してみよう

次の英文は、問題のない英文に見えます。しかし、文法的な誤りがあります。どこに文法的な誤りがあるのか分かるでしょうか。また、文法的に正しい英文に訂正できるでしょうか。

問3 日本語訳を参考に、次の英文の文法的な誤りを直しなさい。
Don’t forget locking the door behind you. (※文法的な誤りがあります)
「あなたの後ろの扉の鍵をかけるのを忘れないでください」

誤文訂正に必要な知識

少なくともこの問題を解くのに必要な知識は以下の通りです。

  • 不定詞と動名詞
  • 不定詞または動名詞だけを目的語(O)にとる動詞
  • 受け身の意味を表す動名詞

不定詞と動名詞

英文の要素の1つに目的語(O)があります。目的語(O)は、他動詞の動作や行為の対象となる語句のことです。

目的語(O)となるものに名詞、代名詞、そして名詞に相当する語句などがあります。なお、名詞に相当する句のことを名詞句、名詞に相当する節のことを名詞節と言います。

目的語(O)=名詞・代名詞・名詞句・名詞節

ここでは、名詞句となる語句を扱います。名詞句となるものには、不定詞動名詞などがあります。

不定詞や動名詞は、動詞を用いた句です。不定詞、動名詞、分詞(現在分詞・過去分詞)の3つは準動詞と言われます。準動詞は、2つの特徴を持っています。

準動詞の特徴

  • 動詞の他に名詞や形容詞などの働きもする
  • 主語の人称や数によって変化しない

不定詞と動名詞の意味の違い

不定詞や動名詞がどちらも名詞と相等の働きができるのであれば、名詞句を作るのにどちらを用いても問題なさそうな気がします。しかし、2つの違いを知れば、使い分けなければならないことが分かります。

2つの英文の意味の違いが分かるでしょうか。

不定詞と動名詞を使った例文
a) I forgot to meet her.
b) I forgot meeting her.

どちらも第3文型(SVO)の英文です。2つの英文に文法的な誤りはありませんが、英文の意味が異なります。

例文の要素と意味
a) I / forgot / to meet her.
「私は / 彼女と会うことを / 忘れた」

S+Vt+O:第3文型(SVO)
主語(S):I
述語動詞(Vt):forgot
目的語(O):to meet her

b) I / forgot / meeting her.
「私は / 彼女と会ったことを / 忘れた」

S+Vt+O:第3文型(SVO)
主語(S):I
述語動詞(Vt):forgot
目的語(O):meeting her

a)の文では、これから会うのをし忘れたので、彼女にはまだ会っていません。b)の文では、会ったという事実を忘れたので、彼女にはすでに会っています。彼女に会っているのと会っていないのは全く意味が異なります。

不定詞の「to」は、もともと方向を示す前置詞です。ですから、今でも不定詞は、これからある行動をとろう、ある状態になろうという、未来志向の積極的意図を示す動詞に付く傾向があります。

不定詞をとる動詞の傾向
[ 未来志向の積極的意図を示す動詞 ]+不定詞
不定詞を用いた表現「未来志向的」

それに対して動名詞は、現在またはこれまでに事実となっていることにどう対処するかということを示す動詞に付く傾向があります。これからのことよりも、すでに起こったことや当面の事柄にどう対処するかという意味合いが強くなるので、動名詞は消極的、回避的なことを言うときに好まれる表現です。

動名詞をとる動詞の傾向
[ 現在またはこれまでに事実となっていることにどう対処するかということを示す動詞 ]+不定詞
動名詞を用いた表現「事実志向的」

このような違いから、不定詞が動的であるのに対して、動名詞は静的と捉えることができます。傾向ではありますが、迷ったときの目安にはなるでしょう。

不定詞または動名詞だけを目的語(O)にとる動詞

不定詞と動名詞の両方を目的語(O)にとる動詞には、「forget」のように文意が変わるものがあったり、「start」のように文意がほとんど変わらないものがあったりします。それに対して、不定詞だけ、あるいは動名詞だけを目的語(O)にとる動詞もあります。

一例は以下の通りです。あくまでも一例で、他にもたくさんあります。目的語(O)が不定詞や動名詞の句であるのを見かけたら、必ず辞書で確認しましょう。

不定詞だけを目的語(O)にとる動詞
afford(~する余裕がある) attempt(~しようと試みる) decide(~することに決める)
expect(~するつもりである) fail(~しない、~できない) hope(~したいと思う)
learn(~するようになる) manage(なんとか~する) offer(~することを申し出る)
plan(~する計画を立てる) pretend(~するふりをする) promise(~すると約束する)
refuse(~するのを断る) wish(~したいと思う) 他多数
不定詞だけを目的語にとる動詞を使った例文

I / hope / to tell the truth ( some time ).
「いつか話したい」

S+Vt+O:第3文型(SVO)
主語(S):I
述語動詞(Vt):hope
目的語(O):to tell the truth ( some time )

「to tell」なので、動詞「tell」をしようと向かっていくイメージです。「hope」は「~を望む」という意味ですが、「tell」という動作に向かっていくことを望んでいるので、「~したい」という日本語訳でもニュアンスとしては問題ないでしょう。

動名詞だけを目的語(O)にとる動詞
admit(~するのを認める) avoid(~するのを避ける) consider(~することを考える)
deny(~しないと言う) enjoy(~するのを楽しむ) escape(~するのを逃れる)
evade(~するのを避ける) excuse(~するのを許す) finish(~するのを終える)
imagine(~することを想像する) involve(伴う) mind(~するのを気にする)
miss(~しこなう) postpone(~するのを延期する) stop(~するのをやめる)

熟語(句動詞)ではありますが、give up(~するのをやめる)やput off(~するのを延期する)も動名詞だけを目的語にとります。

動名詞だけを目的語にとる動詞を使った例文

You / should stop / telling jokes.
「冗談を(言うのを)やめなさい」

S+Vt+O:第3文型(SVO)
主語(S):You
述語動詞(Vt):should stop
目的語(O):telling jokes

「telling」なので、すでに起こした、または現在起こしているイメージです。「stop」は「~をやめる」という回避的な意味をもつので、動名詞と相性の良い動詞です。

受け身の意味を表す動名詞

主題からは脱線してしまいますが、間違えやすい動名詞の表現を紹介しておきます。

動名詞は動詞に「ing」を付けた形なので、中学で学習した進行形(~しているところ)をイメージする人が多いのではないでしょうか。そのイメージが強いと、主語(S)が能動的に動作している感じを持つかもしれません。しかし、受け身(受動)の意味を持つ表現もあります。

次の例文を適切な日本語に訳せるでしょうか。

受け身(受動)の意味を表す動名詞の例文
a) This paper needs rewriting.
b) This book is worth reading.

英文の要素や日本語訳は以下の通りです。

例文の要素と日本語訳

This paper / needs / rewriting.
=This paper / needs / to be rewritten.
「この書類は / 書き直す(書き直される) / 必要がある」

S+Vt+O
主語(S):This paper
述語動詞(Vt):needs
目的語(O):rewriting

This book / is worth / reading.
=This book / needs / to be read.
「この本は / 読む(読まれる) / 値打ちがある」

S+Vt+O
主語(S):This book
述語動詞(Vt):is worth
目的語(O):reading
※「worth」は一般に形容詞で用いられるが、後ろに目的語をとるので前置詞と見ることも可能。

日本語では能動的な訳でも通じますが、意味は能動ではなく受動の意味です。次の動詞の後ろにくる動名詞は、能動態のまま受動の意味を表します。

受動の意味となる動名詞を後ろにとる動詞

  • want, need, require(~が必要である)
  • deserve(~に値する)

間違いやすい書き換え

上の例文で受動の意味となる動名詞から不定詞へ書き換えをしました。不定詞の表現が受動態の形をとっているのは、不定詞の表現が能動の意味を表すからです。

以下の英文を不定詞を使った表現に書き換えてみましょう。

動名詞から不定詞への書き換え
The rug wants cleaning.
「その敷物は / きれいにする(きれいにされる) / 必要がある」

上の例文のように、動名詞の部分を不定詞の受動態に書き換えてしまうと間違いです。文法的な誤りはありませんが、意味がおかしくなります。

書き換え例と間違い例
The rug / wants / cleaning.
「その敷物は / きれいにする(きれいにされる) / 必要がある」

× The rug / wants / to be cleaned.
「その敷物は / きれいにして / もらいたがっている」

〇 The rug / needs / to be cleaned.
「その敷物は / きれいにする(きれいにされる) / 必要がある」

述語動詞(V)が「want」のままだと、主語(S)である「the rug」そのものが、自分から進んで「きれいにしてもらいたがっている」という意味になってしまいます。主語(S)が人か物かで述語動詞(V)を変える必要があります。

動詞「want」の意味を冷静に考えれば気付きそうですが、他の語との意味のつながりを意識する習慣がないと難しいかもしれません。

動詞は日本語訳では述語に相当します。ですから、日本語訳の主語と関連付けておかなければなりません。動詞「want」の意味が「~が必要だ」であれば、主語が人でも物でも問題なさそうですが、「~を欲する」という意味であれば、人が主語でなければおかしな感じがします。

単語がつながって語句になり、そして文となるわけですから、単語とその意味だけを必死に覚えてもあまり効果がないことは予想できるでしょう。単語や熟語を覚える際には、周りの語との関係を意識しながら覚えていくことが大切です。

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https://www.hibikore-tanren.com/study-materials01/

予備知識を確認したので、英文の文法的な誤りを訂正してみましょう。