運用力を鍛える英文法基礎【第5回】

英文法

運用力を鍛える英文法

give 型か buy 型かに迷ったら

give 型の動詞か、buy 型の動詞かに迷うことがあるかもしれません。目安を知っていれば、第4文型(SVOO)から第3文型(SVO)への言い換えに役立ちます。

buy 型の動詞は、「(人)のために」の意味で用いられます。次のような目安で判断しましょう。

第4文型(SVOO)から第3文型(SVO)への言い換えの目安

  • 動作の相手を必要とする動詞:give 型の動詞(to+Oi で言い換える)
  • 1人でできる動作を表す動詞:buy 型の動詞(for+Oi で言い換える)

たとえば、「give him a bike」の場合、「自転車を与える」だけでは、だれに与えるのかが分からず、情報が足りません。ですから「give a bike to him」と言い換えます。

それに対して、「buy him a bike」の場合、「自転車を買う」は相手の情報を必ずしも必要とせず、これだけで完結します。ですから、「buy a bike for him」と言い換えます。

give 型にも buy 型にも用いられる動詞

give 型の動詞や buy 型の動詞は他にもあります。また、give 型と buy 型の両方に言い換え可能な動詞もあったり、第3文型(SVO)への言い換え不可の動詞もあったりします。動詞は英文の文型を決定する品詞なので、意味だけでなく、語法なども辞書や文法書で確認しましょう。

ここでは、give 型と buy 型の両方に言い換え可能な動詞を挙げておきます。ただし、このような動詞を用いる場合、英文の意味に違いが出るので注意しましょう。

give 型にも buy 型にも用いられる動詞①

a) Bring the chair to me.

「その椅子を私のいる所まで持ってきなさい」

b) Bring the chair for me.

「その椅子を私のために持ってきて下さい」

a) では単に場所を示すのに対して、b) では「私が座りたいから」の意味があります。着点を示す「to」と利益や恩恵を示す「for」の意味の違いが訳にも表れるということです。

give 型にも buy 型にも用いられる動詞②

a) I left a letter for her on the desk.

「私は机の上に彼女あてに手紙を残しておいた

b) He left a great amount of money to his family.

「彼は家族に巨額の金を残して死んだ

動詞「leave」は、a) の「leave A for B」では「BにAを残しておく」の意味で用いられ、b) の「leave A to B」では「AをBに残して死ぬ」の意味で用いられています。「to B」と「for B」の両方への言い換えが可能であっても、相手に伝わるニュアンスはだいぶ異なります。

「人」が先か「物」が先か

「(人)に(物)を~する」という場合、第3文型(SVO)でも第4文型(SVOO)でも表せます。一部の動詞を除いて、互いに言い換え可能な文型だからです。

ただ、give 型や buy 型などと使い分けが必要なので、何だか難しく感じます。わざわざ第3文型を使わずに、第4文型(SVOO)を使えば楽で良いのではないかと思うかもしれません。

どちらの文型で表すかは、状況によって異なります。「私はフレッドに自転車を貸してあげた」という英文を考えてみましょう。

「人」が先か「物」が先か①

「私がフレッドに貸したのは、自転車だった」と言いたいとき

a) I lent Fred my bike.

「私が自転車を貸した相手は、フレッドだった」と言いたいとき

b) I lent my bike to Fred.

英文では、旧情報新情報という2種類の情報があります。旧情報は、文脈や状況から聞き手がすでに知っているものです。新情報は、聞き手が初めて知るものです。

自然な文の流れでは、「旧情報は新情報よりも前」に出ているのが一般的な談話の構造です。あえて強調するために新情報を旧情報よりも前に出すことがありますが、これは自然な文の流れとは考えません。

例文 a),b) では、下線部の「my bike」や「to Fred」が最も重要な情報、つまり新情報として扱われ、その部分を強く読みます。最も伝えたいこと(新情報)を最後に置けば、自然な英文になります。次の対話でも確認しましょう。

「人」が先か「物」が先か②

「自転車を誰に貸しましたか?」「フレッドです」

“Who did you lend your bike to ?"

“I lend it to Fred

返答は「貸した相手はフレッドです」という意味です。「フレッドに」が重要な情報なので、例文 b)のように第3文型(SVO)で言い表すのが適切です。対話の状況では、例文 a) は文法的な誤りがなくても、返答としては適切ではありません。

英文の談話の構造を知っておくと、読解や英作文など色んな場面でとても役立ちます。

自然な文の流れでは、「旧情報は新情報よりも前」

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予備知識を確認したので、英文の文法的な誤りを訂正してみましょう。