図形の性質|外心について

数学A

数学A 図形の性質

外心を扱った問題を解いてみよう

次の問題を考えてみましょう。

外心を扱った問題

問の解答・解説

点Oは外心なので、△ABCの外接円を書き込みます。

外接円を描くことで、同一の弧に対する中心角円周角を見つけやすくなります

また、外心Oと頂点A,B,Cとを結んで3つの二等辺三角形をつくります。

二等辺三角形の底角は等しいので、大きさが等しい角に記号を書き込んでおきます。

与えられた図に書き込んでも構いませんが、積極的に自分で作図する習慣を付けておきましょう。

外心を扱った問題の作図例
外接円や二等辺三角形を追記

角に記号を入れたことでよく分かりますが、角xは∠OABと∠OACの和に等しい角です。△OABと△OACが二等辺三角形であることを利用します。

問の解答例 1⃣

$\triangle OAB$ において、$OA=OB$ であるので

\begin{align*} \quad \angle {OAB} = \angle {OBA} = 20^{\circ} \end{align*}

同様に $\triangle OAC$ において、$OA=OC$ であるので

\begin{align*} \quad \angle {OAC} = \angle {OCA} = 30^{\circ} \end{align*}

よって

\begin{align*} \quad x &= \angle BAC \\[ 7pt ] &= \angle {OAB}+\angle {OAC} \\[ 7pt ] &= 20^{\circ}+30^{\circ} \\[ 7pt ] &= 50^{\circ} \end{align*}
外心を扱った問題の作図例
外接円や二等辺三角形を追記

次に角yを求めます。角yは、二等辺三角形である△OBCの底角です。△OBCの底角を求めるには、∠BOCを求めておく必要があります。

ここで、弧BCに対する円周角と中心角に注目すると、角xを利用できることに気付きます。同一の弧に対する中心角と円周角の関係を利用します。

問の解答例 2⃣

弧 $BC$ に対する中心角と円周角の関係より

\begin{align*} \quad \angle {BOC} = 2 \angle {BAC} = 100^{\circ} \end{align*}

$\triangle OBC$ において、$OB=OC$ であるので

\begin{align*} \quad \angle {OBC} = \angle {OCB}=y \end{align*}

三角形の内角の和より

\begin{align*} \quad \angle BOC+\angle OBC+\angle OCB = 180^{\circ} \end{align*}

よって

\begin{align*} \quad 100^{\circ}+y+y = 180^{\circ} \end{align*}

$y$ について解くと

\begin{align*} \quad y &=\frac{1}{2}\left(180^{\circ}-100^{\circ} \right) \\[ 7pt ] &=40^{\circ} \end{align*}
外心を扱った問題の作図例
外接円や二等辺三角形を追記

角を求める問題では、三角形の内角の和をよく利用するので忘れないようにしましょう。

問のポイントと解答例をまとめると以下のようになります。

外心を扱った問題の解答例
問のポイントと解答例

解答例では角yを△OBCの内角と考えましたが、△ABCの内角の一部と考えても求めることができます。この場合、△ABCにおいて内角の和を利用します。

問の別解例

$\triangle ABC$ において三角形の内角の和より

\begin{align*} \quad \angle {BAC} + \angle {ABC} + \angle {ACB} = 180^{\circ} \quad \cdots \text{①} \end{align*}

ここで

\begin{align*} &\quad \angle {BAC} = \angle {BAO} + \angle {CAO} \\[ 7pt ] &\quad \angle {ABC} = \angle {ABO} + \angle {CBO} \\[ 7pt ] &\quad \angle {ACB} = \angle {ACO} + \angle {BCO} \end{align*}

また、二等辺三角形の底角より

\begin{align*} &\quad \angle {BAO} = \angle {ABO} \\[ 7pt ] &\quad \angle {CBO} = \angle {BCO} \\[ 7pt ] &\quad \angle {CAO} = \angle {ACO} \end{align*}

が成り立つので、これより①は

\begin{align*} \quad 2y + 100^{\circ} = 180^{\circ} \end{align*}

よって

\begin{align*} \quad y= 40^{\circ} \end{align*}
外心を扱った問題の作図例
外接円や二等辺三角形を追記

本問のように、複数の図形が混在する場合、どの図形に注目しているかによってアプローチの仕方が変わってきます。落ち着いてアプローチの仕方を考えましょう。

また、アプローチを吟味するときに困らないように、大きさや長さの等しい角や辺に記号を書き込むなどの最低限の作業を済ませておきましょう。

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さいごに、もう一度、頭の中を整理しよう

  • 外心は三角形の外接円の中心。
  • 外心は三角形の3辺の垂直二等分線の交点。
  • 三角形の内角を求めるとき、外接円にできた円周角と中心角の関係を利用しよう。
  • 外心を頂点にもつ三角形は、二等辺三角形(または正三角形)になる。