図形の性質|作図について

数学A

数学A 図形の性質(別バージョン)

角の二等分線を引こう

角の二等分線とは、角の大きさを二等分する直線のことです。

∠AOBの二等分線を引いてみましょう。手順は3つあります。

角の二等分線の手順①

コンパスを使って、点Oを中心とする円(弧)を描きます。コンパスを開いたままにしておきます。

角の二等分線の手順1
手順①点Oを中心とする円(弧)を描く

角をつくる線分OA,OB上にそれぞれ交点ができます。それぞれの交点をP,Qとすると、OP=OQです。

角の二等分線の手順②

手順①と同じ要領でコンパスを使って、今度は点P,Qをそれぞれ中心とする円(弧)を描きます。

角の二等分線の手順2
手順②点P,Qを中心とする円(弧)を描く

2つの円(弧)が交わって交点ができます。この交点をRとすると、同じ半径の円(弧)を描いたのでOP=OQ=PR=QRです。これまでと同じように、4辺が等しい四角形(ひし形)ができます。

角の二等分線の手順③

2点O,Rを通る半直線ORを定規で引きます。この半直線ORが∠AOBの二等分線です。

角の二等分線の手順3
手順③半直線ORを引く

角の二等分線かどうかを調べてみよう

半直線ORが∠AOBの二等分線であることを確かめてみましょう。

作図の様子から分かるように、線分OR,PQは、ひし形OPRQの対角線です。ですから、これらは直交し、互いに他を二等分します。このことと△OPQが二等辺三角形であることに注目します。

角の二等分線の手順3
△OPQが二等辺三角形であることに注目

二等辺三角形である△OPQにおいて、線分ORは、底辺PQの垂直二等分線となるだけでなく、頂角の二等分線にもなります。

ですから、頂角である∠POQは、線分ORによって二等分されます。したがって、半直線ORは∠AOBの二等分線になります。

二等辺三角形において、底辺の垂直二等分線は、頂角の二等分線でもある。

角の二等分線の性質

垂直二等分線と同じように、角の二等分線がもつ性質も頻出なので覚えておきましょう。

角の二等分線がもつ性質として、∠AOBの二等分線上の点から、2辺OA,OBまでの距離が等しい(CR=DR)という性質があります。

角の二等分線の性質
角の二等分線がもつ性質

点Rが∠AOBの二等分線上のどこにあっても、△OCRと△ODRは合同な直角三角形になるからです。ここで、点と線分との距離は、2点間の距離とは異なり、点から線分に引いた垂線の長さになるので注意しましょう。

このことから、∠AOBの二等分線は、交わる2つの定直線OA,OBから等距離にある点の集まり(軌跡)になります。このような角の二等分線は、たとえば内心を作図するときに利用されます。

角の二等分線は、内心を作図する問題で出題される。

角の二等分線を引く手順の一覧です。

角の二等分線の手順一覧欄
角の二等分線の作図手順

点を通る平行線を引こう

平行線とは、すでに引かれた直線や線分に対して平行な直線のことです。

直線ℓに対して、点Aを通る平行線を引いてみましょう。ただし、点Aは直線ℓ上にない点です。手順は3つあります。

平行線の手順①

直線ℓ上に、点Pをつくります。コンパスを使って、点Pを中心とする半径APの円(弧)を描きます。コンパスを開いたままにしておきます。

点Aを通る平行線の手順1
手順①点Pを中心とする半径APの円(弧)を描く

円(弧)と直線ℓの交点ができるので、この交点をQとします。このときAP=PQです。

平行線の手順②

手順①と同じ要領でコンパスを使って、今度は点A,Qをそれぞれ中心とする円(弧)を描きます。

点Aを通る平行線の手順2
手順②点A,Qを中心とする円(弧)を描く

2つの円(弧)が交わって交点ができます。ただし、交点は点Pと反対側に作りましょう。

交点をRとすると、同じ半径の円(弧)を描いたのでAP=PQ=AR=QRです。これで4辺が等しい四角形(ひし形)ができます。

平行線の手順③

2点A,Rを通る直線を定規で引きます。この直線ARが、点Aを通る平行線です。

点Aを通る平行線の手順3
手順③2点A,Rを通る直線を引く

直線ARが、直線ℓの平行線であることを確かめてみましょう。

作図するときにコンパスの開きを変えていないので、四角形APQRはひし形です。ひし形は平行四辺形の性質をもつので、2組の対辺は平行で、長さが等しくなっています。ですから、直線ARは、直線ℓに対して平行な直線になります。

特定の点を通る平行線を引く手順の一覧です。

点Aを通る平行線の手順一覧
特定の点を通る平行線の作図手順

角を移して平行線を作図する

角の移し方

なお、平行線の作図は、ひし形をつくる代わりに、垂線を繰り返し作図することでも可能です。

その他には、基本作図の「角を移す」方法もあります。「角を移す」方法は、繰り返し垂線を作図するよりも主流になっています。

角を移す作図では、移動側に合同な三角形をつくるイメージをもつと分かりやすいです。

注意したいのは、移す角の大きさは60°とは限らないので、コンパスの開き方を変える必要があるということです。同じ開き方だと正三角形ができてしまいます。

∠AOBと同じ大きさの∠A’O’B’を作るとします。右図の初期状態は、線分O’B’だけがある状態です。

図の番号に従って円(弧)を描いていきます。ここで、同じ番号の円(弧)は同じ半径になるようにします。

角を移す作図
角を移す作図手順

初めに点Oを中心として円(弧)を描きます。すると、線分OA,OB上に交点ができます(①)。コンパスの開きはそのままで、これと同じことを線分O’B’にも行います。

次に交点間の長さを測ります(②)。おそらく①のときの半径とは異なるので、コンパスの開きが変わっても構いません。

長さを測ったコンパスの開きのままで、これと同じことを線分O’B’にも行います。移す方に交点ができるので、定規で直線を引くと同じ大きさの角をつくることができます。

角を移す方法で平行線を引く

平行線を引くとき、角を移す方法を利用すると、∠APQと大きさの等しい角を錯角となるように移すことで作図できます。

錯角に角を移す作図
角を移す方法で平行線を引く作図手順

コンパスの開き具合を∠APQに合わせて変えることに注意が必要ですが、ひし形を作図する方法と併せて覚えておきましょう。

次は、実際に作図を扱った問題を解いてみましょう。