整数の性質|1次不定方程式について

12/08/2018数学A整数の性質,不定方程式,整数解,一般解

今回は1次不定方程式について学習しましょう。この単元も頻出です。センター試験では、1次不定方程式を扱った問題が出題されると考えておいた方が良いでしょう。十分に演習をこなしておきましょう。

1次不定方程式の単元で学習すること

この単元では、以下のような事柄を学習します。

  • 1次不定方程式について
  • 1次不定方程式の解き方と解の表し方

新しい用語や定理が出てきます。まずは文言通りに正しく覚えることが大切です。

1次不定方程式について

厳密に言えば、2元1次不定方程式です。この方程式は、2種類の文字からなる1次式を使った等式で、中学で学習する連立方程式の単元ですでに登場しています。以下、単に1次不定方程式と記載します。例えば、1次不定方程式は以下のような式です。

1次不定方程式の例
\begin{align*}
&\quad 5x-2y=1 \\[ 5pt ]
&\quad 5x+3y=4 \\[ 5pt ]
&\quad 3x+4y=5
\end{align*}

応用問題になると、係数が分数や小数のものも出てくるかもしれませんが、係数は基本的に整数です。このような1次不定方程式を満たす解は、ただ1つに定まらず、無数にあるのが特徴です。なお、連立方程式になると、解はただ1つに定まります。

1次不定方程式は、一般に以下のように定義されます。

1次不定方程式
\begin{align*}
&\text{$a \ , \ b \ , \ c$ を整数の定数とするとき、} \\[ 5pt ]
&\quad ax+by=c \\[ 5pt ]
&\text{で表される式。} \\[ 5pt ]
&\text{ただし、$a \neq 0 \ , \ b \neq 0$}
\end{align*}

1次不定方程式の無数にある解の中でも、整数 $x \ , \ y$ の組のことを整数解と言います。この整数解を求めることを1次不定方程式を解くと言います。

用語のまとめ

  • 1次不定方程式:2種類の文字 $x \ , \ y$ からなる1次式を用いた等式。係数は0でない整数。
  • 1次不定方程式の整数解:1次不定方程式を満たす整数 $x \ , \ y$ の組。
  • 1次不定方程式を解く:整数解を求めること。

この単元では、1次不定方程式の解き方や整数解の表し方を中心に学習します。

1次不定方程式の解き方と解の表し方

1次不定方程式の解き方には少し工夫が必要です。何故かと言うと、1次不定方程式の解は無数にあり、このことは整数解であっても同じだからです。

1次不定方程式の整数解
\begin{align*}
&\quad 5x-2y=1 \\[ 5pt ]
&\text{の整数解は、} \\[ 5pt ]
&\quad (x \ , \ y) = (1 \ , \ 2) \ , \ (3 \ , \ 7) \ , \ (5 \ , \ 12) \ , \cdots \\[ 5pt ]
&\text{のように無数にある。}
\end{align*}

ただ1つに定まらない整数解をどのようにして求めるのか、またどのようにして表すのか、ここが答案作成のポイントになります。

1次不定方程式の解き方

1次不定方程式と整数解の関係は、一般に以下のように表されます。

1次不定方程式と整数解の関係
2つの整数 $a \ , \ b$ が互いに素であるならば、任意の整数 $c$ について、
$\quad ax+by=c$
を満たす整数 $x \ , \ y$ が存在する。
また、整数解の1つを $x=p \ , \ y=q$ とすると、すべての整数解は、
$\quad x=bk+p \ , \ y=-ak+q$ ($k$ は整数)
と表される。

2つの整数 $a \ , \ b$ が互いに素でなければ、整数解が存在しない場合があるので注意しましょう。

また、すべての整数解は任意の整数 $k$ を使って表されます。無数にある整数解を書き並べるには限界があるので、一般化するしかありません。このように、すべての整数解は、一般化された解になるので、一般解とも言われます。

実際に具体例で確認してみましょう。

方程式 $5x-2y=1$ の整数解をすべて求めよ。

まず1組の整数解を見つけることから始めます。方程式の $x \ , \ y$ に自分で整数を代入します。左辺の式の値が右辺と等しくなれば、等式が成り立つので、そのときの $x \ , \ y$ の値が整数解です。

1組の整数解を探す
\begin{align*}
&\quad 5x-2y=1 \quad \text{…①} \\[ 5pt ]
&\text{において、$x=1 \ , \ y=2$ のとき、} \\[ 5pt ]
&\quad \text{(左辺)} = 5 \cdot 1 -2 \cdot 2 = 1 \\[ 5pt ]
&\text{より、等式が成り立つ。} \\[ 5pt ]
&\text{よって、$x=1 \ , \ y=2$ は整数解の1組。} \\[ 5pt ]
&\text{また、$x=1 \ , \ y=2$ を①に代入すると、} \\[ 5pt ]
&\quad 5 \cdot 1 -2 \cdot 2 = 1 \quad \text{…②}
\end{align*}

整数解を見つけたら、①式に代入します。このとき、②式の左辺は、整数解を代入しただけにしておきます。

次は①式を②式(整数解の1組を①に代入した式)で減算します。ここからが1次不定方程式の解き方で大切なところです。少しテクニカルですが、よく考えられており、興味深いところです。

2つの式を減算する(①-②)
\begin{align*}
&5x& &-2y& &=1 \\
-) \quad &5 \cdot 1& &-2 \cdot 2& &= 1 \\
\hline \\
&5(x-1)& &-2(y-2)& &= 0
\end{align*}

この減算で右辺が0になります。この式を変形します。

減算後に式変形
\begin{align*}
5(x-1) -2(y-2) &= 0 \\[ 5pt ]
5(x-1) &= 2(y-2) \quad \text{…③}
\end{align*}

2つの式を減算して右辺を0にすることで、③式を導出することができます。整数解の1組を見つけたら、③式を導出しましょう。

1組の整数解 $(p \ , \ q)$ を見つけて、
$\quad a(x-p)+b(y-q)=0$
を導出しよう。

③式を導出したら、左辺と右辺の関係を調べます。左辺は5の倍数で、右辺は2の倍数です。2と5は互いに素であるにもかかわらず等式が成り立っています。

右辺が2の倍数であれば、左辺も2の倍数でなければ等式が成り立ちません。同じように左辺が5の倍数であれば、右辺も5の倍数でなければ等式が成り立ちません。つまり、左辺の $x-1$ は2の倍数であり、右辺の $y-2$ は5の倍数であることが分かります。

左辺と右辺の関係を調べる
\begin{align*}
&\quad 5(x-1) = 2(y-2) \quad \text{…③} \\[ 5pt ]
&\text{③において、$2$ と $5$ は互いに素。} \\[ 5pt ]
&\text{よって、$x-1$ は $2$ の倍数である。} \\[ 5pt ]
&\text{これより、$k$ を整数とすると、} \\[ 5pt ]
&\quad x-1 = 2k \quad \text{…④} \\[ 5pt ]
&\text{と表せるので、} \\[ 5pt ]
&\quad x = 2k +1
\end{align*}

これで、$x$ の値を求めることができました。整数解は複数あるので、このように一般化した式で表す必要があります。残った $y$ の値は、④式を利用して得られます。

すべての整数解を求める
\begin{align*}
&\quad 5(x-1) = 2(y-2) \quad \text{…③} \\[ 5pt ]
&\quad x-1 = 2k \quad \text{…④} \\[ 5pt ]
&\text{④を③に代入すると、} \\[ 5pt ]
&\quad 5 \cdot 2k = 2(y-2) \\[ 5pt ]
&\text{これを $y$ について変形すると、} \\[ 5pt ]
&\quad y = 5k +2 \\[ 5pt ]
&\text{したがって、求める整数解は、} \\[ 5pt ]
&\quad x = 2k +1 \ , \ y = 5k +2 \quad \text{($k$ は整数)}
\end{align*}

きちんと定義通りの整数解を得ることができました。③式以降の流れでは、左辺と右辺の因数に注目しています。このことは、公約数や公倍数を求めるときに、素因数分解して因数の関係を考えたことと同じようなことをしています。

1次不定方程式 $ax+by=c$ の一般解を求める手順をまとめておきましょう。

1次不定方程式の一般解を求める手順

  1. 1組の整数解 $x=p \ , \ y=q$ を見つける。
  2. 方程式に整数解を代入して、$a \cdot p + b \cdot q =c$ をつくる。
  3. 方程式を手順2の式で減算して、$a(x-p)+b(y-q)=0$ をつくる。
  4. 2つの整数 $a \ , \ b$ が互いに素であることを利用して、手順3の式から$x-p=bk$ ($k$ は整数)を導く。
  5. $x-p=bk$ を手順3の式に代入して $y-q=-ak$ を導く。
  6. 手順3 , 4で得られた式を整理すると、一般解 $x=bk+p \ , \ y=-ak+q$ ($k$ は整数)

次は1次不定方程式を扱った問題を実際に解いてみましょう。