複素数と方程式|割られる式や余りの決定について

数学2

割られる式や余りの決定を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

\begin{align*} &\text{$n$ を $2$ 以上の自然数とする。} \\[ 5pt ] &\text{$x^{\scriptsize{n}}+ax+b$ が $(x-1)^{\scriptsize{2}}$ で割り切れるとき、} \\[ 5pt ] &\text{定数 $a \ , \ b$ の値を求めよ。} \end{align*}

問の解答・解説

問は、割られる式(の係数や定数項)を決定する問題です。与えられた情報を整理してみましょう。

問で与えられた情報

  • 割られる式:n次式xn+ax+b(ただし、n≧2)
  • 割る式:2次式(x-1)2
  • 商:不明
  • n次式を2次式で割ると割り切れる=余りは0
  • n次式の係数や定数項を決定する

与えられたn次式を2次式で割ると割り切れるので、2次式で割ったときの余りは0です。因数定理が成り立つので、n次式は2次式を因数にもちます。

割る2次式は、2つの1次式x-1を因数にもちます。このことから、n次式も2つの1次式x-1を因数にもちます。このとき、n次式を1次式x-1で割ったときの余りは0です。

1次式x-1で割ったときの余りが分かったので、剰余の定理を利用します。

問の解答例 1⃣

\begin{align*} &\quad f(x)=x^{\scriptsize{n}}+ax+b \\[ 7pt ] &\text{とする。} \\[ 5pt ] &\text{$f(x)$ が $(x-1)^{\scriptsize{2}}$ で割り切れるとき、} \\[ 5pt ] &\text{$f(x)$ は $x-1$ で割り切れるので} \\[ 5pt ] &\quad f(1)=0 \\[ 7pt ] &\text{より} \\[ 5pt ] &\quad 1+a+b=0 \\[ 7pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad b=-a-1 \quad \cdots \text{①} \end{align*}

定数bを定数aを用いて表すことができました(①式)。これをn次式に代入して、文字の種類を減らします。

問の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad f(x)=x^{\scriptsize{n}}+ax+b \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad b=-a-1 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\text{①を $f(x)$ に代入すると} \\[ 5pt ] &\quad f(x)=x^{\scriptsize{n}}+ax-a-1 \end{align*}

n次式は1次式x-1で割ると割り切れるので、因数定理が成り立ちます。因数定理が成り立つことから、n次式を因数分解できるはずです。

因数分解できるはずですが、少し問題があります。nは2以上の整数なので、n次式がいくつの項からなるのか分かりません。

そうなると、組立除法に頼れません。ここでは、組立除法を利用せずに、n次式の因数分解を利用します。

問の解答例 3⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad f(x)=x^{\scriptsize{n}}+ax-a-1 \\[ 7pt ] &\text{これを因数分解すると} \\[ 5pt ] &\quad f(x)=a\left(x-1 \right)+x^{\scriptsize{n}}-1 \\[ 7pt ] &\text{より} \\[ 5pt ] &\quad f(x)=a\left(x-1 \right)+\left(x-1 \right)\left(x^{\scriptsize{n-1}}+x^{\scriptsize{n-2}}+x^{\scriptsize{n-3}}+ \cdots \cdots +x+1 \right) \\[ 7pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad f(x)=\left(x-1 \right) \left(x^{\scriptsize{n-1}}+x^{\scriptsize{n-2}}+x^{\scriptsize{n-3}}+ \cdots \cdots +x+1+a \right) \\[ 7pt ] &\text{ここで} \\[ 5pt ] &\quad g(x)=x^{\scriptsize{n-1}}+x^{\scriptsize{n-2}}+x^{\scriptsize{n-3}}+ \cdots \cdots +x+1+a \quad \cdots \text{②} \end{align*}

n次式であるf(x)を因数分解することができました。1次式x-1と、1次式x-1で割ったときの商との積で表せています。

1次式x-1で割ったときの商が分ったので、商だけを抜き出します(最後の行)。商はn-1次式です。

ところで、与えられたn次式は、2つの1次式x-1を因数にもちます。1つはすでに割る式として出てきました。残り1つは商の中にあるはずです。

このことから、商は1次式x-1で割ると割り切れます。つまり、商を1次式x-1で割ったときの余りが0になるということです。

抜き出した商において、剰余の定理を利用します。

問の解答例 4⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad g(x)=x^{\scriptsize{n-1}}+x^{\scriptsize{n-2}}+x^{\scriptsize{n-3}}+ \cdots \cdots +x+1+a \quad \cdots \text{②} \\[ 7pt ] &\text{$f(x)$ が $(x-1)^{\scriptsize{2}}$ で割り切れるとき、} \\[ 5pt ] &\text{$g(x)$ は $x-1$ で割り切れるので} \\[ 5pt ] &\quad g(1)=0 \\[ 7pt ] &\text{より} \\[ 5pt ] &\quad 1+1+ \cdots \cdots +1+a=0 \\[ 7pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad a=-n \end{align*}

x=1を代入した項は全部でn-1個ですが、定数項の1を含めれば、1はn個あります。

定数aの値が分かったので、これを①式に代入して定数bの値を求めます。

問の解答例 5⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad b=-a-1 \quad \cdots \text{①} \\[ 7pt ] &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad a=-n \\[ 7pt ] &\text{これと①より} \\[ 5pt ] &\quad b=n-1 \\[ 7pt ] &\text{したがって} \\[ 5pt ] &\quad a=-n \ , \ b=n-1 \end{align*}

例題(2)のように、「余りを求めよ」という問題であれば、割り算の基本公式を用いて等式を導く解法を採用します。

それに対して、例題(1)や問のように、割られる式の係数を求める問題であれば、割り算の基本公式を用いる必要はありません。

どちらのパターンにも共通なのは、割る式が2次式であることです。つまり、この2次式をどのように用いるかが重要です。

2次式のままで扱うと行き詰ってしまいます。しかし、2個の1次式と捉えると、問題の見え方が変わります。「1次式で割る」と捉えれば、剰余の定理因数定理を利用することができます。

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さいごにもう一度まとめ

  • 割る式が2次式の場合、2個の1次式に分けて考えよう。
  • 1次式での割り算であれば、剰余の定理や因数定理を利用しよう。
  • 整式の割り算では、割り算の基本公式で等式を作ろう。
  • 割られる式を決定する問題では、剰余の定理を活用しよう。
  • 余りを決定する問題では、割り算の基本公式で作った等式を活用しよう。