整数の性質|約数と倍数について

数学A

数学A 整数の性質

約数や倍数を扱った問題を解いてみよう

次の問題を解いてみましょう。

(1) $4$ 桁の整数 $25□4$ について、以下の数になるように、□に当てはまる数を求めよ。

$\quad$ (i) $3$ の倍数

$\quad$ (ii) $12$ の倍数

(2) $360$ を素因数分解せよ。

問(1)の解答・解説

問(1)

$4$ 桁の整数 $25□4$ について、以下の数になるように、□に当てはまる数を求めよ。

$\quad$ (i) $3$ の倍数

$\quad$ (ii) $12$ の倍数

問(1)は、倍数の判定法を扱った問題です。4桁の整数について十の位が隠されています。与えられた条件から、十の位の数字を考えます。

(i)では、3の倍数になることが条件です。3の倍数になる条件は、各位の和が3の倍数であることです。

問(1)(i)の解答例

\begin{align*} &\text{求める数を $x$ とおく。} \\[ 5pt ] &\text{各位の数の和は} \\[ 5pt ] &\quad 2+5+x+4 = x+11 \\[ 7pt ] &\text{より、これが $3$ の倍数となればよい。} \\[ 5pt ] &\text{条件を満たすのは $x$ が} \\[ 5pt ] &\quad 1 \ , \ 4 \ , \ 7 \\[ 7pt ] &\text{のいずれかになるときである。} \\[ 5pt ] &\text{したがって、□に当てはまる数は} \\[ 5pt ] &\quad 1 \ , \ 4 \ , \ 7 \end{align*}

(ii)では、12の倍数になることが条件です。12の倍数になる条件は、3の倍数、かつ4の倍数であることです。(i)の結果を利用します。

問(1)(ii)の解答例

\begin{align*} &(i) \ \text{で求めた数のうち、下 $2$ 桁が $4$ の倍数になるのは} \\[ 5pt ] &\quad x=4 \\[ 7pt ] &\text{のときである。} \\[ 5pt ] &\text{したがって、□に当てはまる数は $4$} \end{align*}

基本的な倍数の判定法を覚えておかないと、(ii)の問題を解くことが難しくなります。

問(2)の解答・解説

問(2)

$360$ を素因数分解せよ。

最初から素数で分解するのが模範的な解き方です。ここでは、因数でざっくりと分解(因数分解)します。このとき、4,9,16などの平方数や、8,27などの自然数の累乗の値で分解するのがコツです。

問(2)の解答例

\begin{align*} 360 &= 36 \times 10 \\[ 7pt ] &= 4 \times 9 \times 2 \times 5 \\[ 7pt ] &= 2^{\scriptsize{2}} \times 3^{\scriptsize{2}} \times 2 \times 5 \\[ 7pt ] &= 2^{\scriptsize{3}} \times 3^{\scriptsize{2}} \times 5 \end{align*}

因数分解するとき、2×180のように、小さな数で分解するメリットはほとんどありません。

しかし、36×10のように、できるだけ大きな数で分解した方が格段に速く分解できます。ざっくりと分解しましょう。

素因数分解は、もとの数を素因数で細かく切っていくイメージの作業です。

ですから、素因数で切った残りの数がなかなか小さくなりません。そうなると、分解する回数が多くなります。360の素因数分解では、2で3回、3で2回の合計5回の分解を行う必要があります。

これに対して、平方数自然数の累乗の値で分解する場合、もとの数を大雑把に切っていくやり方なので、残る数が素因数分解のときよりも小さくなります。

累乗の形を作りやすくなるので、分解の回数が結果的に少なくなります。360の素因数分解では、4×9×2×5と分解した後、早い人なら次で分解を終えることができるでしょう。

ここで大切なことは、素因数分解と言っても、初めから素数で分解する必要はなく、最終的に素因数だけで分解できていれば良いということです。ですから、途中までは因数分解でも構わないのです。

まずは因数分解でざっくりと分解し、分解後の因数を素因数で分解しましょう。その際、平方数や自然数の累乗を上手に利用しましょう。

素因数分解では、平方数や自然数の累乗の値で大雑把に因数分解しよう。平方根でも因数分解の方がラク。

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さいごにもう一度まとめ

  • 約数と倍数の関係を覚えよう。
  • 倍数の判定法は約数の判定法でもある。
  • 1は素数でないことに注意しよう。
  • 素因数分解ではまず因数分解してみよう。