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式と証明|恒等式の証明について

数学2 式と証明アイキャッチ03 数学II

今回から等式や不等式の証明に関する単元に入ります。まずは恒等式の証明について学習しましょう。

恒等式は文字にどんな値を代入しても左辺と右辺の値が等しくなる等式のことです。ここでは、恒等式であることを示すにはどのような方法があるのかを学習します。

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恒等式の証明

例題からここで学習することを探ってみましょう。

例題
\begin{align*}
&\text{次の等式を証明せよ。} \\[ 5pt ]
&(1) \quad x^{\scriptsize{5}}-1 = \big( x-1 \big) \big( x^{\scriptsize{4}}+x^{\scriptsize{3}}+x^{\scriptsize{2}}+x+1 \big) \\[ 5pt ]
&(2) \quad \big( a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} \big) \big( c^{\scriptsize{2}}+d^{\scriptsize{2}} \big) = \big( ac+bd \big)^{\scriptsize{2}} + \big( ad-bc \big)^{\scriptsize{2}}
\end{align*}

「等式を証明せよ」という問題です。これまでは等式が恒等式になるように、未知の定数の値を定めるのが主題でした。しかし、ここでは未知の定数は存在しません。ただ、気になるのは、左辺と右辺が一見して同じ式には見えないことです。

どうやら「等式を証明せよ」というのは、左辺と右辺が同じ式であることを示せという意味だと考えられます。左辺と右辺が同じになる等式は恒等式です。ですから、恒等式の証明とは、左辺と右辺が同じ式となることを示すことだと言えます。

(等式を証明せよ)=(左辺と右辺が同じ式になることを示せ)

等式の証明

等式を証明する方法にはいくつかあります。これらの方法を与式に応じて使い分けます。

等式 AB の証明の方法

  1. $A$ か $B$ の一方を変形して、他方を導く。複雑な式の方を変形するのが原則。
  2. $A \ , \ B$ をそれぞれ変形して、同じ式を導く。
  3. $A-B$ を変形して、$0$ になることを示す。

1番目や2番目の方法は、左辺と右辺が同じ式になることを示す方法です。つまり、等式が恒等式であることを示す方法と言えます。

また、3番目の方法は、直接的で分かりやすい方法です。等式が成り立つならば、左辺と右辺を引き算すれば必ず0となるはずです。この考え方は、不等式の証明での理解の助けになるので、しっかりと理解しておきましょう。

例題を解いてみよう

それでは、実際に例題を解いてみましょう。

例題
\begin{align*}
&\text{次の等式を証明せよ。} \\[ 5pt ]
&(1) \quad x^{\scriptsize{5}}-1 = \big( x-1 \big) \big( x^{\scriptsize{4}}+x^{\scriptsize{3}}+x^{\scriptsize{2}}+x+1 \big) \\[ 5pt ]
&(2) \quad \big( a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} \big) \big( c^{\scriptsize{2}}+d^{\scriptsize{2}} \big) = \big( ac+bd \big)^{\scriptsize{2}} + \big( ad-bc \big)^{\scriptsize{2}}
\end{align*}

例題(1)の解答・解説

例題(1)
\begin{align*}
&\text{次の等式を証明せよ。} \\[ 5pt ]
&(1) \quad x^{\scriptsize{5}}-1 = \big( x-1 \big) \big( x^{\scriptsize{4}}+x^{\scriptsize{3}}+x^{\scriptsize{2}}+x+1 \big)
\end{align*}

3通りの方法で証明できます。使い分けできるようになるには、実際に使ってみて体感するのが一番効果的です。できるだけ、3通りの方法を使って演習しましょう。

左辺と右辺の一方を変形して、他方を導く方法

左辺と右辺の一方を変形して、他方を導く場合、原則、複雑な式の方を変形します。例題(1)では、右辺の方が複雑です。右辺を展開して整理します。

右辺を展開して整理する
\begin{align*}
\text{(右辺)} \ &= x \big( x^{\scriptsize{4}}+x^{\scriptsize{3}}+x^{\scriptsize{2}}+x+1 \big)-\big( x^{\scriptsize{4}}+x^{\scriptsize{3}}+x^{\scriptsize{2}}+x+1 \big) \\[ 5pt ]
&= x^{\scriptsize{5}}+x^{\scriptsize{4}}+x^{\scriptsize{3}}+^{\scriptsize{2}}+x -\big( x^{\scriptsize{4}}+x^{\scriptsize{3}}+x^{\scriptsize{2}}+x+1 \big) \\[ 5pt ]
&= x^{\scriptsize{5}}-1 \\[ 5pt ]
&= \ \text{(左辺)} \\[ 5pt ]
\text{よって} \quad x^{\scriptsize{5}}-1 &= \big( x-1 \big) \big( x^{\scriptsize{4}}+x^{\scriptsize{3}}+x^{\scriptsize{2}}+x+1 \big)
\end{align*}

両辺をそれぞれ変形して、同じ式を導く方法

この方法は、右辺と左辺の一方を変形して、他方を導くことが難しい場合に用いられます。

例題(1)では、右辺を展開すれば、左辺を導くことができそう(実際にできた)なので、この方法を採用することはありません。また、左辺を因数分解すると右辺と同じ式になるので、やはりこの方法を採用することはありません。

一方を変形しても他方を導くことが難しいと感じたら、両辺を変形してみよう。

(左辺)ー(右辺)=0を導く方法

両辺を引き算します。

両辺を引き算する
\begin{align*}
\text{(左辺)}-\text{(右辺)} &= \big( x^{\scriptsize{5}}-1 \big) – \big( x-1 \big) \big( x^{\scriptsize{4}}+x^{\scriptsize{3}}+x^{\scriptsize{2}}+x+1 \big) \\[ 5pt ]
&= \big( x^{\scriptsize{5}}-1 \big) -x \big( x^{\scriptsize{4}}+x^{\scriptsize{3}}+x^{\scriptsize{2}}+x+1 \big) + \big( x^{\scriptsize{4}}+x^{\scriptsize{3}}+x^{\scriptsize{2}}+x+1 \big) \\[ 5pt ]
&= \big( x^{\scriptsize{5}}-1 \big) – \big( x^{\scriptsize{5}}+x^{\scriptsize{4}}+x^{\scriptsize{3}}+x^{\scriptsize{2}}+x \big) + \big( x^{\scriptsize{4}}+x^{\scriptsize{3}}+x^{\scriptsize{2}}+x+1 \big) \\[ 5pt ]
&= 0 \\[ 5pt ]
\text{よって} \quad x^{\scriptsize{5}}-1 &= \big( x-1 \big) \big( x^{\scriptsize{4}}+x^{\scriptsize{3}}+x^{\scriptsize{2}}+x+1 \big)
\end{align*}

少し計算過程が多くなりますが、きちんと証明できます。展開して同類項を整理する程度の計算であれば、引き算による証明もそれほど面倒ではありません。

例題(1)の等式であれば、右辺を変形して左辺を導く方法が模範解答です。与式を見て、3通りの方法から適切なものを選択して使いましょう。

例題(1)の等式について

例題(1)の等式が成り立つことから、x 5 -1 が x -1 で割り切れることが分かります。一般に、n を自然数とすると、以下のことが成り立ちます。

$n$ を自然数とすると、$x^{\scriptsize{n}}-1$ は $x-1$ で割り切れて、
商は $x^{\scriptsize{n-1}}+x^{\scriptsize{n-2}}+ \cdots \cdots +x+1$ となる。つまり、
\begin{equation*}
x^{\scriptsize{n}}-1 = \big( x-1 \big) \big( x^{\scriptsize{n-1}}+x^{\scriptsize{n-2}}+ \cdots \cdots +x+1 \big)
\end{equation*}

これは既知の事柄なので、覚えておくと良いでしょう。

例題(2)の解答・解説

例題(2)
\begin{align*}
&\text{次の等式を証明せよ。} \\[ 5pt ]
&(2) \quad \big( a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} \big) \big( c^{\scriptsize{2}}+d^{\scriptsize{2}} \big) = \big( ac+bd \big)^{\scriptsize{2}} + \big( ad-bc \big)^{\scriptsize{2}}
\end{align*}

例題(2)を証明する場合、どの方法を用いると楽に証明できるでしょうか。左辺と右辺の一方を変形して他方を導くことは可能でしょうが、少し難しく感じます。

そうなると、両辺を変形して同じ式を導く方法か、左辺と右辺を引き算する方法のどちらかになります。どちらの方法であっても両辺をそれぞれ展開する必要があります。ですから、面倒さはほとんど変わりません。

ここでは、両辺を変形して同じ式を導く方法で証明します。

両辺をそれぞれ変形して、同じ式を導く方法

両辺をそれぞれ展開して整理します。同じ式が得られるはずです。

両辺をそれぞれ展開して整理する
\begin{align*}
\text{(左辺)} \ &= a^{\scriptsize{2}} \big( c^{\scriptsize{2}}+d^{\scriptsize{2}} \big)+b^{\scriptsize{2}} \big( c^{\scriptsize{2}}+d^{\scriptsize{2}} \big) \\[ 5pt ]
&= a^{\scriptsize{2}} c^{\scriptsize{2}}+a^{\scriptsize{2}} d^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} c^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} d^{\scriptsize{2}} \\[ 5pt ]
\text{(右辺)} \ &= a^{\scriptsize{2}} c^{\scriptsize{2}} +2abcd +b^{\scriptsize{2}} d^{\scriptsize{2}}+a^{\scriptsize{2}} d^{\scriptsize{2}} -2abcd+b^{\scriptsize{2}} c^{\scriptsize{2}} \\[ 5pt ]
&= a^{\scriptsize{2}} c^{\scriptsize{2}}+a^{\scriptsize{2}} d^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} c^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} d^{\scriptsize{2}} \\[ 5pt ]
\text{よって} \quad &\big( a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} \big) \big( c^{\scriptsize{2}}+d^{\scriptsize{2}} \big) = \big( ac+bd \big)^{\scriptsize{2}} + \big( ad-bc \big)^{\scriptsize{2}}
\end{align*}

両辺をそれぞれ変形する方法が上手くいきました。これを引き算にすると、左辺と右辺を引き算する方法になります。

左辺と右辺の一方を変形して、他方を導く方法

変形が少し面倒ですが、別解として、右辺を変形して、左辺を導く方法で証明します。

例題(2)の等式であれば、左辺も右辺も同じような複雑さです。ですから、どちらかを選んで変形します。ここでは右辺を変形します。

右辺を展開して整理する
\begin{align*}
\text{(右辺)} \ &= a^{\scriptsize{2}} c^{\scriptsize{2}} +2abcd +b^{\scriptsize{2}} d^{\scriptsize{2}}+a^{\scriptsize{2}} d^{\scriptsize{2}} -2abcd+b^{\scriptsize{2}} c^{\scriptsize{2}} \\[ 5pt ]
&= a^{\scriptsize{2}} c^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} d^{\scriptsize{2}}+a^{\scriptsize{2}} d^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} c^{\scriptsize{2}} \\[ 5pt ]
&= a^{\scriptsize{2}} c^{\scriptsize{2}}+a^{\scriptsize{2}} d^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} c^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} d^{\scriptsize{2}} \\[ 5pt ]
&= a^{\scriptsize{2}} \big( c^{\scriptsize{2}}+d^{\scriptsize{2}} \big)+b^{\scriptsize{2}} \big( c^{\scriptsize{2}}+d^{\scriptsize{2}} \big) \\[ 5pt ]
&= \big( a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} \big) \big( c^{\scriptsize{2}}+d^{\scriptsize{2}} \big) \\[ 5pt ]
&= \ \text{(左辺)} \\[ 5pt ]
\text{よって} \quad &\big( a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}} \big) \big( c^{\scriptsize{2}}+d^{\scriptsize{2}} \big) = \big( ac+bd \big)^{\scriptsize{2}} + \big( ad-bc \big)^{\scriptsize{2}}
\end{align*}

等式の証明は、必ず両辺が同じ式になるという事実を踏まえて取り組みましょう。証明問題では、基本的にゴールが分かっているので、そこを意識するかどうかでだいぶ変わってきます。

証明問題では、結論を意識して方針を立てよう。

次は、恒等式の証明を扱った問題を実際に解いてみましょう。

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数学で覚えるべき公式や定理は、一覧で眺めてみるとそれほど多くはありません。大切なことは覚えることではなく、「公式や定理をどのように使うか」です。

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