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式と証明|分数式の恒等式について

数学2 式と証明アイキャッチ03数学II

今回は分数式の恒等式について学習しましょう。分数式の場合、少し工夫する必要がありますが、これまでと同じように扱うことができます。

もちろん、係数比較法や数値代入法を用いて解くことができます。

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分数式の恒等式

分数式の恒等式を扱う場合、分数式そのままで解くことはしません。等式であることを活かして、分数式を分母を払って変形します。すると、分数式の等式が、両辺がともに整式の等式に変わります。

もし、変形後の等式が恒等式であれば、もとの等式も恒等式となります。変形後の等式は、これまで扱っていた等式と何も変わりません。ですから、係数比較法数値代入法を用いることができます。

(分数式)=(分数式)の等式から、(整式)=(整式)の等式へ変形しよう。

例題を解いてみよう

次の例題を解いてみましょう。

例題
\begin{align*}
&\text{次の等式が $x$ についての恒等式となるように、} \\[ 5pt ]
&\text{定数 $a \ , \ b$ の値を定めよ。} \\[ 10pt ]
&\quad \frac{5x+1}{(x+2)(x-1)} = \frac{a}{x+2} + \frac{b}{x-1}
\end{align*}

例題の解答・解説

与式は分数式を含むので、分母を払って整式の等式に変形します。両辺に2次式を掛けます。

分母を払って整式へ
\begin{align*}
&\text{両辺に $(x+2)(x-1)$ を掛けて} \\[ 5pt ]
&\quad 5x+1 = a(x-1)+b(x+2) \quad \text{…①}
\end{align*}

分数式から整式へ変形できました。ここからは係数比較法か数値代入法のどちらかで解きます。①式を見ると、どちらの方法でもそれほど差はないでしょう。

係数比較法による解答例

係数比較法を用いるために、①式の右辺を展開して整理します。

係数比較法で解く
\begin{align*}
&\text{①の右辺を整理すると} \\[ 5pt ]
&\quad 5x+1 = (a+b)x+(-a+2b)
\end{align*}

両辺にある同じ次数の項について、係数を比較します。

係数を比較する
\begin{align*}
&\text{両辺の同じ次数の項の係数を比較すると、} \\[ 5pt ]
&\quad \begin{cases} 5&=a+b &\quad \text{…②} \\ 1&=-a+2b &\quad \text{…③} \end{cases}
\end{align*}

連立方程式を解きます。計算ミスしないように気を付けましょう。

連立方程式の計算
\begin{align*}
&\quad \begin{cases} 5&=a+b &\quad \text{…②} \\ 1&=-a+2b &\quad \text{…③} \end{cases} \\[ 5pt ]
&\text{②+③より} \\[ 5pt ]
&\quad 6=3b \quad \text{よって} \ b=2 \\[ 5pt ]
&\text{これと②より} \\[ 5pt ]
&\quad 5=a+2 \quad \text{よって} \ a=3 \\[ 5pt ]
&\text{したがって、} \\[ 5pt ]
&\quad a=3 \ , \ b=2
\end{align*}

次は数値代入法を用いて解きます。

数値代入法による解答例

①式をよく観察して、簡単な形の式を導出できそうな数値を代入しましょう。右辺の各項が因数分解されていることに注目して、数値を代入します。

数値代入法で解く
\begin{align*}
&\quad 5x+1 = a(x-1)+b(x+2) \quad \text{…①} \\[ 10pt ]
&\text{①が $x$ についての恒等式であれば} \\[ 5pt ]
&\text{$x=1$ を代入して} \\[ 5pt ]
&\quad 6=3b \quad \text{よって} \ b=2 \\[ 5pt ]
&\text{$x=-2$ を代入して} \\[ 5pt ]
&\quad -9=-3a \quad \text{よって} \ a=3
\end{align*}

数値代入法の方が楽な計算で済みますが、これで終わりにしないように気をつけます。求めた値を右辺に代入して、①式が恒等式であることを実際に確かめます

①式が恒等式であることの確認
\begin{align*}
&\text{逆に、このとき①の右辺は} \\[ 5pt ]
&\quad 3(x-1)+2(x+2) = 5x+1 \\[ 5pt ]
&\text{となり、左辺と一致するので、} \\[ 5pt ]
&\text{①は恒等式となる。} \\[ 5pt ]
&\text{したがって、} \\[ 5pt ]
&\quad a=3 \ , \ b=2
\end{align*}

数値代入法では、等式が恒等式であることの確認を必ず行いましょう。「逆に」以下の別解です。

①式が恒等式であることの確認(別解)
\begin{align*}
&\text{このとき、①の両辺は $1$ 次以下の整式であり、} \\[ 5pt ]
&\text{異なる $2$ 個の $x$ の値に対して等式が成り立つ。} \\[ 5pt ]
&\text{よって、①は恒等式である。} \\[ 5pt ]
&\text{したがって、} \\[ 5pt ]
&\quad a=3 \ , \ b=2
\end{align*}

分母が0になるときの値の扱い

例題を数値代入法で解く際に、$x=-2 \ , \ 1$ を代入して解いています。この値は分数式では分母が0となる値です。もとの分数式のままであれば、これらの値を代入することはできません。しかし、整式に変形した後であれば、分数式ではないので代入しても問題ありません

また、分数式では除外される値であるのにもかかわらず、この値を使って恒等式であることが言えるのか、という疑問が湧くかもしれません。これは以下のような考え方から問題ないことが分かります。

もとの等式が恒等式であると言える考え方
$x=-2 \ , \ 1$ のとき、①が成り立つ。
⇔ ①は $x$ の恒等式であり、任意の $x$ に対して成り立つ。
⇔ ①は $x \neq -2 \ , \ x \neq 1$ を満たすすべての $x$ に対して成り立つ。このとき、$(x+2)(x-1) \neq 0$
⇔ ①の両辺を $(x+2)(x-1)$ で割った式、つまり与式は、$x \neq -2 \ , \ x \neq 1$ においてつねに成り立つ。
⇔ 与式は恒等式になる。

もとの等式では、分母が0になる値は除外して等式が成り立てば良いわけです。そのために、一旦、もとの等式から離れて、変形後の等式が恒等式であることを示します(恒等式となるように定数を定める)。

このとき、変形後の等式が恒等式であることを示すことができさえすれば、どんな値でも良いのです。示すのに都合の良い値が、分母が0となる値だったわけです。

変形後の等式が恒等式であれば、分母が0となる値以外でも等式が成り立ちます。もとの等式と変形後の等式とは、形が変わっただけの関係です。ですから、もとの等式でも分母が0となる値以外で等式が成り立ちます

このようなロジックが成り立つので、変形後の等式に分母が0となる値を代入しても構いません。また、変形後の等式が恒等式であれば、もとの等式も恒等式です。

分母が0となる値以外でも等式が成り立つことを示すために、変形後の等式が恒等式となるように定数を定める。

部分分数を用いた解答例

ここでは、分数式の分母を払って、整式の等式に変形しました。実は、分数式のままでも解くことができます。すでに学習した部分分数を利用します。

部分分数に分解する
\begin{align*}
&\text{与式の左辺を部分分数に分解すると、} \\[ 5pt ]
&\qquad \frac{5x+1}{(x+2)(x-1)} \\[ 10pt ]
&\quad = \frac{2(x+2)+3(x-1)}{(x+2)(x-1)} \\[ 10pt ]
&\quad = \frac{3(x-1)}{(x+2)(x-1)} + \frac{2(x+2)}{(x+2)(x-1)} \\[ 10pt ]
&\quad = \frac{3}{x+2} + \frac{2}{x-1} \\[ 10pt ]
&\text{分数式の同じ分母の分子が等しくなれば良いので} \\[ 5pt ]
&\quad a=3 \ , \ b=2
\end{align*}

右辺の分数式と同じになるように分子を変形します。部分分数に簡単に分解できるようであれば、分数式の分解だけで済むのでおすすめです。

次は、分数式の恒等式を扱った問題を実際に解いてみましょう。

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