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式と証明|相加平均・相乗平均を利用した不等式の証明について

数学2 式と証明アイキャッチ03数学II

今回は相加平均と相乗平均を利用した不等式の証明について学習しましょう。今回も不等式の証明の応用になります。

不等式の証明では、差をつくることが基本です。しかし、ある特定の条件を満たす場合、予め分かった関係を利用して不等式を証明することができます。

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相加平均と相乗平均

積が定数となる正の数の和について、以下のような関係が成り立ちます。

積が定数となる正の数の和
\begin{align*}
&\text{$a \gt 0 \ , \ b \gt 0$ のとき} \\[ 10pt ]
&\quad \frac{a+b}{2} \geqq \sqrt{ab} \\[ 10pt ]
&\text{が成り立つ。} \\[ 10pt ]
&\text{$\frac{a+b}{2}$ を相加平均、$\sqrt{ab}$ を相乗平均と言う。}
\end{align*}

左辺を相加平均、右辺を相乗平均と言います。

相加平均と相乗平均の大小関係の証明

相加平均相乗平均の関係は、2つの数が正であるとき必ず成り立ちます。証明は以下のようになります。

相加平均と相乗平均の大小関係を証明する
\begin{align*}
&\quad \Bigl( \frac{a+b}{2} \Bigr)^{\scriptsize{2}}-\Bigl( \sqrt{ab} \Bigr)^{\scriptsize{2}} \\[ 10pt ]
&\quad = \frac{1}{4} \bigl( a^{\scriptsize{2}}+2ab+b^{\scriptsize{2}} \bigr)-\bigl( ab \bigr) \\[ 10pt ]
&\quad = \frac{1}{4} \bigl( a^{\scriptsize{2}}+2ab+b^{\scriptsize{2}} -4ab \bigr) \\[ 10pt ]
&\quad = \frac{1}{4} \bigl( a^{\scriptsize{2}}-2ab+b^{\scriptsize{2}} \bigr) \\[ 10pt ]
&\quad = \frac{1}{4} \bigl( a-b \bigr)^{\scriptsize{2}} \geqq 0 \\[ 10pt ]
&\text{よって} \\[ 10pt ]
&\quad \bigl( \frac{a+b}{2} \bigr)^{\scriptsize{2}} \geqq \bigl( \sqrt{ab} \bigr)^{\scriptsize{2}} \\[ 10pt ]
&\text{$a \gt 0 \ , \ b \gt 0$ より} \\[ 10pt ]
&\quad \frac{a+b}{2} \gt 0 \ , \ \sqrt{ab} \gt 0 \\[ 10pt ]
&\text{であるので、} \\[ 10pt ]
&\quad \frac{a+b}{2} \geqq \sqrt{ab}
\end{align*}

また、等号が成り立つ条件を求めます。

相加平均と相乗平均が等しくなる条件
\begin{align*}
&\text{また、等号が成り立つのは} \\[ 10pt ]
&\quad \frac{1}{4} \bigl( a-b \bigr)^{\scriptsize{2}} = 0 \\[ 10pt ]
&\text{より、} \\[ 10pt ]
&\quad a-b = 0 \quad \text{すなわち} \quad a=b \\[ 10pt ]
&\text{のときである。}
\end{align*}

このような相加平均と相乗平均の大小関係を不等式の証明に利用します。一般には、先程の不等式よりも、変形後の不等式を利用します。

相加平均と相乗平均
\begin{align*}
&\text{$a \gt 0 \ , \ b \gt 0$ のとき} \\[ 10pt ]
&\quad \frac{a+b}{2} \geqq \sqrt{ab} \\[ 10pt ]
&\text{より、} \\[ 10pt ]
&\quad a+b \geqq 2 \sqrt{ab} \\[ 10pt ]
&\text{また、等号成立は $a=b$ のとき}
\end{align*}

左辺の分母を払って不等式を変形しています。この形で利用することが多いので注意しましょう。

相加平均と相乗平均の大小関係を利用できる問題について

相加平均と相乗平均の大小関係を利用するのに適している条件があります。

相加平均と相乗平均の大小関係を利用できる条件

  • 正の数である。
  • 2つの数や式が逆数の関係である。
  • 最小値を求める。

正の数であることは絶対条件です。この条件がないと、相加平均と相乗平均の大小関係は成り立ちません。

また、逆数を扱っていることがほとんどなので、式を見ればすぐに分かります。最小値を求める問題は、等号が成り立つ条件を求める問題と捉えると良いでしょう。

例題を解いてみよう(その1)

相加平均と相乗平均の大小関係を利用して、不等式を証明してみましょう。

例題1
\begin{align*}
&\text{$x \gt 0$ のとき、次の不等式を証明せよ。} \\[ 10pt ]
&\text{また、等号が成り立つのはどのようなときか。} \\[ 10pt ]
&(1) \quad x+\frac{4}{x} \geqq 4 \\[ 10pt ]
&(2) \quad \Bigl( x+\frac{1}{x} \Bigr) \Bigl( x+\frac{4}{x} \Bigr) \geqq 9
\end{align*}

例題1(1)の解答・解説

例題1(1)
\begin{align*}
&\text{$x \gt 0$ のとき、次の不等式を証明せよ。} \\[ 10pt ]
&\text{また、等号が成り立つのはどのようなときか。} \\[ 10pt ]
&(1) \quad x+\frac{4}{x} \geqq 4
\end{align*}

不等式を見ると分かるように、左辺は逆数の和です。また、文字 x は正です。このような条件を満たすとき、相加平均と相乗平均の大小関係を利用することができます。

相加平均・相乗平均の大小関係を利用する
\begin{align*}
&\quad x \gt 0 \ , \ \frac{4}{x} \gt 0 \\[ 10pt ]
&\text{であるので、相加平均と相乗平均の大小関係より} \\[ 10pt ]
&\quad x+\frac{4}{x} \geqq 2\sqrt{x \cdot \frac{4}{x}}
\end{align*}

相加平均と相乗平均の大小関係を利用するとき、必ず断りを記述しておきましょう。

不等式の右辺を整理します。右辺はほとんどの場合、整理すると定数になります。

右辺を整理する
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 10pt ]
&\quad x+\frac{4}{x} \geqq 2\sqrt{x \cdot \frac{4}{x}} = 2 \cdot 2 = 4 \\[ 10pt ]
&\text{よって} \\[ 10pt ]
&\quad x+\frac{4}{x} \geqq 4
\end{align*}

等号が成り立つ条件を求めます。

等号が成り立つ条件を求める
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 10pt ]
&\text{また、等号が成り立つのは} \\[ 10pt ]
&\quad x = \frac{4}{x} \\[ 10pt ]
&\text{のときである。これを解くと} \\[ 10pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}} = 4 \\[ 10pt ]
&\text{$x \gt 0$ であるので} \\[ 10pt ]
&\quad x = 2
\end{align*}

例題1(1)の別解例

相加平均と相乗平均の大小関係を利用しましたが、これまで通りの解法で解くこともできます。

差をつくる(別解例)
\begin{align*}
&\quad \Bigl( x+\frac{4}{x} \Bigr) – 4 \\[ 10pt ]
&\quad = \frac{x^{\scriptsize{2}}+4-4x}{x} \\[ 10pt ]
&\quad = \frac{\bigl( x-2 \bigr)^{\scriptsize{2}}}{x} \geqq 0 \\[ 10pt ]
&\text{よって} \\[ 10pt ]
&\quad x+\frac{4}{x} \geqq 4 \\[ 10pt ]
&\text{また、等号が成り立つのは} \\[ 10pt ]
&\quad x=2 \\[ 10pt ]
&\text{のときである。}
\end{align*}

別解のように簡単に証明することができるので、相加平均と相乗平均の大小関係を必ず利用する必要はありません。ただ、型にはめて解くことができるのは大きな利点なので、臨機応変に使い分けましょう。

例題1(2)の解答・解説

例題(2)
\begin{align*}
&\text{$x \gt 0$ のとき、次の不等式を証明せよ。} \\[ 10pt ]
&\text{また、等号が成り立つのはどのようなときか。} \\[ 10pt ]
&(2) \quad \Bigl( x+\frac{1}{x} \Bigr) \Bigl( x+\frac{4}{x} \Bigr) \geqq 9
\end{align*}

例題1(2)も相加平均と相乗平均の大小関係を利用して解くことができます。ただし、少し工夫が必要なので、難しく感じるかもしれません。

与式のままであれば、カッコの中だけであれば逆数の和ですが、左辺全体では逆数の和の積になっています。このままだと上手くいきそうにないので、不等式の左辺を展開して整理します。

左辺を展開する
\begin{align*}
&\text{与式の左辺を展開すると} \\[ 10pt ]
&\quad \Bigl( x+\frac{1}{x} \Bigr) \Bigl( x+\frac{4}{x} \Bigr) \\[ 10pt ]
&\quad = x^{\scriptsize{2}} +x \cdot \frac{4}{x} +\frac{1}{x} \cdot x + \frac{1}{x} \cdot \frac{4}{x} \\[ 10pt ]
&\quad = x^{\scriptsize{2}} +\frac{4}{x^{\scriptsize{2}}} +5
\end{align*}

定数項ができましたが、与式よりもましな形になりました。定数項のことは後回しにして、逆数の和に注目します。相加平均と相乗平均の大小関係を利用します。

相加平均と相乗平均の大小関係を利用
\begin{align*}
&\quad x^{\scriptsize{2}} \gt 0 \ , \ \frac{4}{x^{\scriptsize{2}}} \gt 0 \\[ 10pt ]
&\text{であるので、相加平均と相乗平均の大小関係より} \\[ 10pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}} +\frac{4}{x^{\scriptsize{2}}} \geqq 2\sqrt{x^{\scriptsize{2}} \cdot \frac{4}{x^{\scriptsize{2}}}}
\end{align*}

不等式の右辺を整理します。

右辺を整理する
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 10pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}} +\frac{4}{x^{\scriptsize{2}}} \geqq 2\sqrt{x^{\scriptsize{2}} \cdot \frac{4}{x^{\scriptsize{2}}}} = 2 \cdot 2 = 4 \\[ 10pt ]
&\text{よって} \\[ 10pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}} +\frac{4}{x^{\scriptsize{2}}} \geqq 4
\end{align*}

今回はここで終わってはいけません。このままでは、与式の左辺と同じではないからです。後回しにした定数項をつくります

与式の左辺に揃える
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 10pt ]
&\text{両辺に $5$ を加えると} \\[ 10pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}} +\frac{4}{x^{\scriptsize{2}}} +5 \geqq 9 \\[ 10pt ]
&\text{したがって} \\[ 10pt ]
&\quad \Bigl( x+\frac{1}{x} \Bigr) \Bigl( x+\frac{4}{x} \Bigr) \geqq 9
\end{align*}
展開してから相加平均と相乗平均の大小関係へ。また、定数項は後回し。

等号が成り立つ条件を求めます。

等号が成り立つ条件を求める
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 10pt ]
&\text{また、等号が成り立つのは} \\[ 10pt ]
&\quad x^{\scriptsize{2}} = \frac{4}{x^{\scriptsize{2}}} \\[ 10pt ]
&\text{のときである。これを解くと} \\[ 10pt ]
&\quad x^{\scriptsize{4}} = 4 \\[ 10pt ]
&\text{$x \gt 0$ であるので} \\[ 10pt ]
&\quad x = \sqrt{2}
\end{align*}

例題1(2)のように、相加平均と相乗平均の大小関係を利用できそうな感じがしても、単純に利用するだけでは上手くいかない問題もあります。この場合、自分で利用できる形へと変形することが必要で、解ける人とそうでない人との差がはっきりします。入試レベルでは頻出なので、演習をこなしておきましょう。

例題を解いてみよう(その2)

例題2も例題1(2)のように、少し工夫が必要な問題です。

例題2
\begin{align*}
&\text{$x \gt 0$ のとき、次の式の最小値を求めよ。} \\[ 10pt ]
&\quad x+\frac{9}{x+2} \\[ 10pt ]
&\text{の最小値を求めよ。} \\[ 10pt ]
\end{align*}

例題2の解答・解説

例題2は、不等式の証明問題ではなく、与式の最小値を求める問題です。この問題でも相加平均と相乗平均の大小関係を利用することができます。

ここで、相加平均と相乗平均の大小関係を振り返ってみます。

相加平均と相乗平均
\begin{align*}
&\text{$a \gt 0 \ , \ b \gt 0$ のとき} \\[ 10pt ]
&\quad \frac{a+b}{2} \geqq \sqrt{ab} \\[ 10pt ]
&\text{より、} \\[ 10pt ]
&\quad a+b \geqq 2 \sqrt{ab} \\[ 10pt ]
&\text{また、等号成立は $a=b$ のとき}
\end{align*}

相加平均と相乗平均の大小関係を利用するときに注意したいのは、文字 a , b に対応する数式です。この数式は「逆数になっていれば、単項式でも良いし、多項式でも構わない」ことに注意しましょう。

このことを踏まえて例題2の与式を観察すると、与式のままだと上手くいかないことに気付くでしょう。与式を変形します。

相加平均・相乗平均の大小関係を利用できる形に変形する
\begin{align*}
&\text{与式より} \\[ 10pt ]
&\quad x+\frac{9}{x+2} = x+2+\frac{9}{x+2}-2
\end{align*}

定数項ができましたが、それよりも優先するのは逆数の和です。逆数の和がなければ、自分でつくりましょう。

分数の分母を参考にして、逆数の和を作ろう。

逆数の和ができたので、相加平均と相乗平均の大小関係を利用します。

相加平均と相乗平均の大小関係を利用
\begin{align*}
&\quad x+2 \gt 0 \ , \ \frac{9}{x+2} \gt 0 \\[ 10pt ]
&\text{であるので、相加平均と相乗平均の大小関係より} \\[ 10pt ]
&\quad x+2 +\frac{9}{x+2} \geqq 2\sqrt{\bigl(x+2 \bigr) \cdot \frac{9}{x+2}}
\end{align*}

不等式の右辺を整理します。

右辺を整理する
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 10pt ]
&\quad x+2 +\frac{9}{x+2} \geqq 2\sqrt{\bigl(x+2 \bigr) \cdot \frac{9}{x+2}} = 2 \cdot 3 = 6 \\[ 10pt ]
&\text{よって} \\[ 10pt ]
&\quad x+2 +\frac{9}{x+2} \geqq 6 \\[ 10pt ]
\end{align*}

例題1(2)と同じように、ここで終わってはいけません。後回しにした定数項をつくります

与式の左辺に揃える
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 10pt ]
&\text{両辺に $-2$ を加えると} \\[ 10pt ]
&\quad x+2+\frac{9}{x+2} -2 \geqq 6-2 \\[ 10pt ]
&\text{したがって} \\[ 10pt ]
&\quad x+\frac{9}{x+2} \geqq 4
\end{align*}

与式が最小値となるのは、不等式において等号が成り立つときです。等号が成り立つ条件を求めます。

等号が成り立つ条件を求める
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 10pt ]
&\text{また、等号が成り立つのは} \\[ 10pt ]
&\quad x+2 = \frac{9}{x+2} \\[ 10pt ]
&\text{のときである。これを解くと} \\[ 10pt ]
&\quad \bigl( x+2 \bigr)^{\scriptsize{2}} = 9 \\[ 10pt ]
&\text{$x+2 \gt 0$ であるので} \\[ 10pt ]
&\quad x+2 = 3 \\[ 10pt ]
&\text{よって} \\[ 10pt ]
&\quad x= 1 \\[ 10pt ]
&\text{したがって、$x=1$ のとき最小値 $4$}
\end{align*}

例題2は、不等式の証明問題ではなく、式の最小値を求める問題です。相加平均と相乗平均の大小関係は不等式で表されます。このことを利用して、式の最小値を求めます。

ただ、問題によっては、手を加えないと解けない場合もあります。入試レベルであれば、簡単に解ける方が少ないので、演習をこなしておきましょう。

次は、相加平均と相乗平均を利用する不等式の証明を扱った問題を実際に解いてみましょう。

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