数学1|図形を扱った入試問題を解いてみよう

02/18/2020大学入試三角比,余弦定理,図形と計量,入試問題

入試問題にチャレンジ!

今回、紹介する問題は図形問題です。一見して簡単そうに見えますが、意外と難しい問題です。図形を扱った問題は、解ける解けないの差がはっきりするような気がします。やはり慣れでしょうか。

過去問を解いてみよう

過去の入試問題になります。最初は力試しに自力で解いてみることをお勧めします。

問題
\begin{align*}
&\text{図において、} \\[ 5pt ]
&\quad \angle {BOC}=30^{\circ} \\
&\quad OA=BC=2 \\
&\text{とするとき、$AB^{\scriptsize{3}}$ を求めよ。}
\end{align*}

入試問題の図(数1)

自力で解けない人は、以下の「問題を解く前に」を確認しましょう。

問題を解く前に

方針を決めよう

マーク形式レベルであれば、方針に複数の候補がほとんど出てこないので、問題を読めばすぐに取り掛かれます。

それに対して、記述形式レベル(2次試験レベル)になると、方針の候補が1つではない問題が多くなります。ですから、できるだけ効率の良く解ける方針を採用しなければなりません。つまり、記述形式レベルを問題を解くには、記述する前に方針をきちんと決めることがとても大切になります。

辺の長さの求め方としては、主に3つが考えられます。

辺の長さを求めるときに利用するもの

  • 三平方の定理
  • 相似の関係
  • 三角比

図を観察すると、3つの三角形があることが分かります。△OAB,△OBC,△OACの3つです。与えられた角の大きさや辺の長さから、相似の関係を利用することは無理そうです。三平方の定理三角比に絞って各三角形を見ていきます。

△OABについて

△OABは∠OAB=90°の直角三角形です。ABの長さを求めるにあたって、真っ先に目に注目する三角形でしょう。

△OABに注目した図

直角三角形なので、三平方の定理を利用できます。三平方の定理を利用するには、3辺のうち2辺の長さを必要としますが、OAの長さだけが与えられています。OBの長さが分かれば良いのですが難しそうです。

△OBCについて

△OBCは、直角三角形ではありませんが、∠COB=30°の三角形です。

△OBCに注目した図

△OBCはABと直接関係するわけではありませんが、△OABとOBを共有しています。ですから、余弦定理を利用して、OBの長さを求めたいところです。

余弦定理の式は、1つの内角と3つの辺の関係を表します。ですから、内角の大きさを求めたいなら、3辺の長さが分かっていることが条件です。また、1辺の長さを求めたいなら、内角の大きさと2辺の長さが分かっていることが条件です。

余弦定理を利用してOBの長さを求める場合、OCの長さが必要になりますが、BCの長さが与えられているだけです。OCの長さが分かれば良いのですが難しそうです。

△OACについて

△OACは、∠BOAと∠COBから∠COA=120°の三角形です。

△OACに注目した図

ACの長さが分かれば、ABの長さが分かります。しかし、この三角形でもOCの長さが分からないので、余弦定理を利用できません。

このように各三角形を見てみると、どれも1辺の長さの情報が足りない状況になっています。つまり、この問題のポイントは、「足りない辺の長さをどのようにして得るか」です。

また、以上の考察から、ABの長さを求めるのに効率の良さそうな辺の長さは、OCの長さではないかと予想できます。

与えられた角の大きさを活用する

以上の考察を踏まえて、与えられた∠COBの大きさ(30°)を活用できないかを考えます。頂点Cから直線OAに垂線を下ろし、その足をHとします

垂線を下ろした図

補助線を使って、新たな△OCHを作ります。△OCHは∠COH=90°の直角三角形です。しかも、∠COH=60°なので、3辺の比を利用できます。

また、OBとCHは平行なので、平行線と線分の比の関係も利用できます。これを利用すれば、OHの長さをABを用いて表すことができそうです。OHの長さが決まれば、3辺の比を利用してOCの長さも決まります。これで大まかな方針が決まりました。

問題の解答・解説

解答例の図

求めたいABの長さを x とおき、平行線と線分の比を利用してOHの長さをABの長さで表します。

問題の解答例①
\begin{align*}
&\text{$AB=x \ (\gt 0)$ とおく。} \\[ 5pt ]
&\text{$AB$ と $CH$ は平行であるので} \\[ 5pt ]
&\quad AB : BC = AO : OH \\[ 5pt ]
&\text{が成り立つ。よって} \\[ 5pt ]
&\quad x : 2 = 2 : OH \\[ 5pt ]
&\text{より} \\[ 5pt ]
&\quad OH= \frac{4}{x} \quad \text{…①}
\end{align*}

直角三角形である△OCHに注目します。3辺の比、または三角比を利用して、OCの長さをABの長さで表します。

問題の解答例②
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\text{△OCHにおいて、$\angle {HOC}=60^{\circ}$ であるので} \\[ 5pt ]
&\quad OH=OC \cos {60^{\circ}} \\[ 5pt ]
&\text{より} \\[ 5pt ]
&\quad OC=2OH \\[ 5pt ]
&\text{これと①より} \\[ 5pt ]
&\quad OC=\frac{8}{x}
\end{align*}

これで念願のOCの長さが決まりました。余弦定理を利用できるのは△OACです。余弦定理を利用して、x についての方程式を導いて解きます。

問題の解答例③
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 7pt ]
&\text{△OACにおいて、余弦定理より} \\[ 5pt ]
&\quad AC^{\scriptsize{2}}=OA^{\scriptsize{2}}+OC^{\scriptsize{2}}-2OA \cdot OC \cos {120^{\circ}} \\[ 5pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad \bigl( x+2 \bigr)^{\scriptsize{2}}=2^{\scriptsize{2}}+\biggl( \frac{8}{x} \biggr)^{\scriptsize{2}}-2 \cdot 2 \cdot \frac{8}{x} \cdot \biggl( -\frac{1}{2} \biggr) \\[ 5pt ]
&\text{これを整理すると} \\[ 5pt ]
&\Longleftrightarrow \quad x^{\scriptsize{2}}+4x+4=4+\frac{64}{x^{\scriptsize{2}}}+\frac{16}{x} \\[ 5pt ]
&\Longleftrightarrow \quad x^{\scriptsize{2}}+4x=\frac{64}{x^{\scriptsize{2}}}+\frac{16}{x} \\[ 5pt ]
&\Longleftrightarrow \quad x \bigl( x+4 \bigr)=\frac{16}{x^{\scriptsize{2}}} \bigl(4+x \bigr) \\[ 5pt ]
&\Longleftrightarrow \quad x^{\scriptsize{3}} \bigl( x+4 \bigr)=16 \bigl( x+4 \bigr) \quad (\because \ x^{\scriptsize{2}} \neq 0) \\[ 5pt ]
&\Longleftrightarrow \quad x^{\scriptsize{3}}=16 \quad (\because \ x+4 \neq 0) \\[ 5pt ]
&\text{$x=AB$ であるので} \\[ 5pt ]
&\quad AB^{\scriptsize{3}}=16
\end{align*}

x についての方程式を導いた後は、要領よく変形していきましょう。解答例を見れば大したことではないと分かりますが、実際に解いてみると意外と考えさせられます。

入試レベルの問題では、よく考えないとなかなか解けないものが多いです。思考力が鍛えられるので、日頃から標準レベル以上の問題に積極的に取り組みたいところです。

共通テストでは「思考力・表現力・判断力」を試す問題が多く出題されることが分かっています。そのような問題に対応するためにも、覚えれば解けるような問題よりも、方針が必要な問題を多くこなすことが大切です。

Recommended books
[affi id=75]

[affi id=74]

河合塾数学科の考える「思考力・判断力・表現力」をまとめ、これに基づいて過去の入試問題を分析し、その中から思考力を養うために経験しておきたい問題を収集し解答・解説を収録。また、思考調査の問題を参考にして「共通テスト型問題」を作成。

[affi id=28]

[affi id=27]

実は、この本は、他のどんな数学の参考書よりも効果があるかもしれないと思っています。「記述式答案の書き方」という書名で、実際そのような内容なのですが……。それはなぜなのか?
つまり、答案の書き方をきちんと説明するためには、数学の基本構造を解説せざるを得ません。それゆえ、数学そのものを深く深く学んでしまうという、普通の参考書とは全く次元が異なる本になってしまっているのです。
例えば、「根拠とは」というセクションがあったりします。その中の「熱がある。だから病院に行く。」と「熱があるならば病院へ行く。」の違いについて考えるところがあるのですが……。(本当に違うのかな?)
「なので」と「ならば」の違いなど、言葉づかいの解説は、数学の本質的な内容であることに気づかされ、いつの間にか、深い理解に到達してしまいます。
とにかく、編集者でさえ、読んだこともない内容が盛りだくさんなんです。(特に、同値記号の乱用と誤用の解説、分数式を含む恒等式の問題、軌跡の十分性の議論などは必読です。)
本書は高校生の皆さんだけではなく、数学のプロの方(理系の大学生、数学の先生)にも役立つのではないかと思っています。