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複素数と方程式|係数に虚数のある2次方程式について

数学II

今回は、係数に虚数のある2次方程式について学習しましょう。2次方程式がもつ解が話題になっていると、判別式をよく利用します。しかし、2次方程式の係数に虚数が含まれているときは注意しなければなりません。

ここでは、2次方程式の判別式を利用できる条件をしっかりマスターしましょう。

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2次方程式の解の判別

2次方程式の解を判別するとき、判別式を利用することを考えます。

たとえば、「2次方程式が実数解をもつ」とあれば、ついつい「判別式の値が0以上( $D \geqq 0$ )」という条件を利用したくなります。しかし、2次方程式の係数や定数項に、虚数があるときは要注意です。

判別式を利用できるのは、係数や定数項に虚数が含まれていないとき、つまり、係数や定数項が実数であることが条件です。どんなときでも判別式を利用できるというわけではないので注意しましょう。

判別式が利用できる前提条件
\begin{align*}
&\text{2次方程式 $ax^{\scriptsize{2}}+bx+c=0$ の判別式を $D$ とすると} \\[ 5pt ]
&\quad D=b^{\scriptsize{2}}-4ac \\[ 5pt ]
&\text{ただし、判別式の符号によって判別できるのは} \\[ 5pt ]
&\text{$a \ , \ b \ , \ c$ が実数のときに限る。}
\end{align*}

係数や定数項が何であっても問題なさそうですが、そうでもありません。

係数や定数項に虚数が含まれるとき

係数や定数項に虚数が含まれるときを考えてみましょう。係数や定数項を自分で定め、判別式の符号を調べてみます。

係数や定数項に虚数が含まれるとき①
\begin{align*}
&\text{2次方程式 $ax^{\scriptsize{2}}+bx+c=0$ において、} \\[ 5pt ]
&\quad a=i \ , \ b=1 \ , \ c=0 \\[ 5pt ]
&\text{とすると、判別式 $D$ は} \\[ 5pt ]
&\quad D = 1^{\scriptsize{2}}-4 \cdot i \cdot 0 = 1 \gt 0 \\[ 5pt ]
&\text{となり、方程式は異なる2つの実数解をもつ。}
\end{align*}

2次の項の係数に虚数単位 i があります。判別式の符号から、2次方程式が異なる2つの実数解をもつことが分かります。

次は、係数や定数項が定まっているので、実際に方程式を解いて解を求めてみましょう。

係数や定数項に虚数が含まれるとき②
\begin{align*}
&\quad a=i \ , \ b=1 \ , \ c=0 \\[ 5pt ]
&\text{より、方程式は} \\[ 5pt ]
&\quad ix^{\scriptsize{2}}+x =0 \\[ 5pt ]
&\text{であり、これを解くと} \\[ 5pt ]
&\quad x \bigl(ix+1 \bigr) =0 \\[ 5pt ]
&\text{より、} \\[ 5pt ]
&\quad x=0 \ , \ i \\[ 5pt ]
&\text{であり、方程式は異なる2つの実数解をもたない。} \\[ 5pt ]
&\text{これは、判別式による結果と矛盾する。}
\end{align*}

方程式を解いて得られた解は、1つが虚数解です。判別式の結果とは異なる結果になってしまいました。

この例のように、係数や定数項に虚数が含まれていても、判別式によって判別できることがあります。しかし、その結果と実際の解とが一致しません。こうなると、解の種類を判別できる式として、判別式がきちんと機能しないことになります。これを防ぐには、係数や定数項が実数でなければなりません。

判別式を利用するときは、係数や定数項が実数であるか確認しよう。

係数や定数項に虚数のある2次方程式の扱い方

次の例題を解いてみましょう。

例題
\begin{align*}
&\text{$x$ の方程式} \\[ 5pt ]
&\quad \bigl( 1+i \bigr)x^{\scriptsize{2}}+\bigl(k+i \bigr)x+3+3ki=0 \\[ 5pt ]
&\text{が実数解をもつように、実数 $k$ の値を定めよ。}
\end{align*}

例題の解答・解説

問題文の文言を見落とさないようにしましょう。

「2次方程式」ではなく、「方程式」です。「実数解」という文言と、2次の項があることから、判別式を利用したくなります。

しかし、係数や定数項に虚数単位 i があることに注目しなければなりません。このような2次式では、等式になっていても2次方程式と同じ扱いをしてはいけません。もちろん、判別式も利用できません。

手詰まった感じがしますが、「方程式が実数解をもつ」という条件を違った角度から利用します。

方程式が実数解をもつので、実数解を自分で定義します。この実数解を方程式に代入しても、等式は成り立ちます。このことを利用して、等式を実部と虚部に分けて整理します。

例題の解答例①
\begin{align*}
&\text{方程式の実数解を $\alpha$ とすると} \\[ 5pt ]
&\quad \bigl( 1+i \bigr){\alpha}^{\scriptsize{2}}+\bigl(k+i \bigr){\alpha}+3+3ki=0 \\[ 5pt ]
&\text{これを整理して} \\[ 5pt ]
&\quad \bigl( {\alpha}^{\scriptsize{2}}+k{\alpha}+3 \bigr)+ \bigl( {\alpha}^{\scriptsize{2}}+{\alpha}+3k \bigr)i =0
\end{align*}

2次方程式の実数解の話ではなく、複素数の話へ置き換えてしまいます。次は、実部と虚部がそれぞれ実数であることを利用します。

例題の解答例②
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 5pt ]
&\quad \bigl( {\alpha}^{\scriptsize{2}}+k{\alpha}+3 \bigr)+ \bigl( {\alpha}^{\scriptsize{2}}+{\alpha}+3k \bigr)i =0 \\[ 5pt ]
&\text{$\alpha \ , \ k$ は実数であるので} \\[ 5pt ]
&\quad {\alpha}^{\scriptsize{2}}+k{\alpha}+3 \ , \ {\alpha}^{\scriptsize{2}}+{\alpha}+3k \\[ 5pt ]
&\text{も実数である。よって} \\[ 5pt ]
&\quad {\alpha}^{\scriptsize{2}}+k{\alpha}+3 =0 \quad \text{…①} \\[ 5pt ]
&\quad {\alpha}^{\scriptsize{2}}+{\alpha}+3k =0 \quad \text{…②}
\end{align*}

①式と②式は、複素数の相等を利用することで得られます。そのためには、「実部と虚部が実数である」という断りを必ず記述しておきましょう。

あとは、①式と②式を連立して解きます。たとえば、②式を k について変形し、それを①式に代入すると、αについての3次方程式が得られます。しかし、ここまでの知識では解くことができません。ですから、代入法ではなく、加減法を利用します。

例題の解答例③
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 5pt ]
&\quad {\alpha}^{\scriptsize{2}}+k{\alpha}+3 =0 \quad \text{…①} \\[ 5pt ]
&\quad {\alpha}^{\scriptsize{2}}+{\alpha}+3k =0 \quad \text{…②} \\[ 5pt ]
&\text{①-②より} \\[ 5pt ]
&\quad k{\alpha}-{\alpha}+3-3k=0 \\[ 5pt ]
&\text{これを変形すると} \\[ 5pt ]
&\quad {\alpha} \bigl( k-1 \bigr)-3\bigl( k-1 \bigr)=0 \\[ 5pt ]
&\quad \bigl( k-1 \bigr)\bigl( {\alpha} -3 \bigr)=0
\end{align*}

加減法を利用して、新しい関係式を導きます。等式の左辺を上手く変形すると、積の形で表せます。この関係から、実数 k や実数解αの値を求めることができます。

例題の解答例④
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 5pt ]
&\quad \bigl( k-1 \bigr)\bigl( {\alpha} -3 \bigr)=0 \\[ 5pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad k=1 \ , \ {\alpha}=3
\end{align*}

これで無事に解き終わったような感じがしますが、どちらの場合でも成り立つのかを確認しておきます。2つの値の関係は「または」の関係であることに注意しましょう。

例題の解答例⑤
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 5pt ]
&\quad k=1 \ , \ {\alpha}=3 \\[ 5pt ]
&\text{[1] $k=1$ のとき} \\[ 5pt ]
&\text{①,②はともに} \\[ 5pt ]
&\quad {\alpha}^{\scriptsize{2}}+{\alpha}+3 =0 \\[ 5pt ]
&\text{となるが、これを満たす実数は} \\[ 5pt ]
&\text{存在しないので不適。} \\[ 5pt ]
&\text{[2] $\alpha=3$ のとき} \\[ 5pt ]
&\text{①,②はともに} \\[ 5pt ]
&\quad 12+3k =0 \\[ 5pt ]
&\text{となる。よって} \\[ 5pt ]
&\quad k =-4 \\[ 5pt ]
&\text{[1],[2]より} \\[ 5pt ]
&\quad k=-4
\end{align*}

[1]の場合では、αについての2次方程式が得られますが、これの判別式の符号を調べると負になります。ですから、αが実数であることに反するので不適です。実数 k の値が得られたからと言って、それがすぐに正解とは限りません。方程式の解を確認することを忘れないようにしましょう。

方程式が実数解をもつことを必ず確認しよう。

例題の別解例

ちなみに①式と②式を使った変形については、高次方程式の単元を学習すると、以下の別解で解くことができます。

例題の別解例
\begin{align*}
&\quad \vdots \\[ 5pt ]
&\quad {\alpha}^{\scriptsize{2}}+k{\alpha}+3 =0 \quad \text{…①} \\[ 5pt ]
&\quad {\alpha}^{\scriptsize{2}}+{\alpha}+3k =0 \quad \text{…②} \\[ 5pt ]
&\text{②より} \\[ 5pt ]
&\quad k = -\frac{1}{3} \bigl( {\alpha}^{\scriptsize{2}}+{\alpha} \bigr) \quad \text{…③} \\[ 5pt ]
&\text{を①に代入すると} \\[ 5pt ]
&\quad {\alpha}^{\scriptsize{2}}-\frac{1}{3} \bigl( {\alpha}^{\scriptsize{2}}+{\alpha} \bigr) {\alpha}+3 =0 \\[ 5pt ]
&\text{これを整理すると} \\[ 5pt ]
&\quad {\alpha}^{\scriptsize{3}}-2{\alpha}^{\scriptsize{2}}-9=0 \\[ 5pt ]
&\text{この左辺は $\alpha-3$ を因数にもつので} \\[ 5pt ]
&\quad \bigl({\alpha}-3 \bigr) \bigl( {\alpha}^{\scriptsize{2}}+{\alpha}+3 \bigr)=0 \\[ 5pt ]
&\text{よって} \\[ 5pt ]
&\quad {\alpha}-3=0 \ \text{または} \ {\alpha}^{\scriptsize{2}}+{\alpha}+3 =0 \\[ 5pt ]
&\text{ここで、} \\[ 5pt ]
&\quad {\alpha}^{\scriptsize{2}}+{\alpha}+3=0 \\[ 5pt ]
&\text{は実数解をもたないので、} \\[ 5pt ]
&\quad {\alpha}-3=0 \quad \text{すなわち} \quad {\alpha} =3 \\[ 5pt ]
&\text{これを③に代入すると} \\[ 5pt ]
&\quad k = -\frac{1}{3} \bigl( 3^{\scriptsize{2}}+3 \bigr) \\[ 5pt ]
&\quad k = -4
\end{align*}

別解の解法であれば、3次方程式を因数分解することができます。高次方程式を学習した後であれば、こちらを採用した方が方程式の解の吟味を必要としないので、いくらか取り組みやすいかもしれません。

次は、係数に虚数のある2次方程式を扱った問題を実際に解いてみましょう。

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