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式と証明|式の大小比較について

数学2 式と証明アイキャッチ03数学II

今回は式の大小比較について学習しましょう。

式の大小を比較するとき、気をつけないと思った以上に面倒で時間が掛かります。要領よく比較する方法を習得しましょう。

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式の大小関係を効率よく調べよう

たとえば、4つの式の大小を比較するときを考えましょう。大小の比較の仕方としては、これまでの学習内容を参考にすれば、4つの式から2つを選び、差を作ってその符号を調べることが考えられます。

この場合、4つの式から2つを選ぶ組み合わせは、全部で4×3÷2=6通りあります。この6通りの大小を調べるとなると、時間制限のある試験ではあまり良い調べ方とは言えません。

そこで、できるだけ手間を少なくし、効率よく比較することが求められます。ここでのポイントはこれに付きます。式の大小比較の方法論をマスターするのがここでの目標となります。

式の大小比較を扱った例題を解いてみよう

次の例題を解いてみましょう。

例題
\begin{align*}
&\text{$0 \lt a \lt b \ , \ a+b=2$ のとき、次の4つの式の大小を比較せよ。} \\[ 10pt ]
&\quad a \ , \quad b \ , \quad ab \ , \quad \frac{a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}}}{2}
\end{align*}

例題の解答・解説

答案を記述する前にやっておくこと

4つの式から2つを選んで比較する場合、全部で6通りの組み合わせが考えられます。しかし、文字 a , b の条件を参考にすれば、少ない組み合わせで比較することができます。

まず、文字 a , b の条件を満たす数を考えます。

条件を満たす数を考える
\begin{align*}
&\text{$0 \lt a \lt b \ , \ a+b=2$ を満たす $a \ , \ b$ は} \\[ 10pt ]
&\quad a = \frac{1}{2} \ , \ b = \frac{3}{2} \\[ 10pt ]
&\text{が考えられる。}
\end{align*}

条件を満たす数は、他にもありますが、できるだけ計算しやすい数を選びましょう。

次に、式に代入して式の値を求めます。

式の値を求める
\begin{align*}
&\text{式に代入すると、} \\[ 10pt ]
&\quad a = \frac{1}{2} \\[ 10pt ]
&\quad b = \frac{3}{2} \\[ 10pt ]
&\quad ab= \frac{1}{2} \cdot \frac{3}{2} = \frac{3}{4} \\[ 10pt ]
&\quad \frac{a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}}}{2}= \frac{1}{2} \biggl\{ \Bigl( \frac{1}{2} \Bigr)^{\scriptsize{2}} + \Bigl( \frac{3}{2} \Bigr)^{\scriptsize{2}} \biggr\} = \frac{5}{4}
\end{align*}

式の値から、4つの式の大小関係を予想することができます。

式の値から大小関係を予想する
\begin{align*}
&\text{式の値から、4つの式の大小は} \\[ 10pt ]
&\quad a \lt ab \lt \frac{a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}}}{2} \lt b \\[ 10pt ]
&\text{と予想できる。}
\end{align*}

このように条件を満たす数を代入して式の値を求めることによって、大小関係の見当を付けることができます。これをやっておかないと、要領よく比較できないので気をつけましょう。

条件を満たす数を代入して、式の値を求めよう。式の値から大小関係を予想しておこう。

例題の解答例

実際に数を代入し、式の値を求めて比較する方法では、ほとんど点数を得ることはできません(おそらく0点)。あくまでも一例であって、文字の条件を満たす全ての数について吟味しているわけではないからです。

答案では、文字のまま差を作って大小を比較する必要があります。まず、差の符号を調べやすいように、条件を利用して文字を2種類から1種類に減らします

条件を利用して文字を減らす
\begin{align*}
&\text{$a+b=2$ より} \\[ 10pt ]
&\quad b = 2-a \\[ 10pt ]
&\text{これより} \\[ 10pt ]
&\qquad ab \\[ 10pt ]
&\quad = a \bigl( 2-a \bigr) \\[ 10pt ]
&\quad = -a^{\scriptsize{2}}+2a \\[ 10pt ]
&\text{同様に} \\[ 10pt ]
&\qquad \frac{a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}}}{2} \\[ 10pt ]
&\quad = \frac{ a^{\scriptsize{2}}+ \bigl( 2-a \bigr)^{\scriptsize{2}} }{2} \\[ 10pt ]
&\quad = a^{\scriptsize{2}}-2a+2 \\[ 10pt ]
\end{align*}

もう1つの条件も利用すると、残った文字 a の範囲を求めることができます。

残った文字の範囲を求める
\begin{align*}
&\text{$b = 2-a$ と $0 \lt a \lt b$ より} \\[ 10pt ]
&\quad 0 \lt a \lt 2-a \\[ 10pt ]
&\text{すなわち} \\[ 10pt ]
&\quad \left\{
\begin{array}{l}
0 \lt a \\
a \lt 2-a
\end{array}
\right. \\[ 10pt ]
&\text{より} \\[ 10pt ]
&\quad 0 \lt a \lt 1
\end{align*}

これで、差の符号を調べる準備が整いました。予め予想した大小関係から差を作ります。最小のものと2番目に小さいものを比較します。

差を作って式の大小を比較する(その1)
\begin{align*}
&\text{[1]} \\[ 10pt ]
&\qquad ab-a \\[ 10pt ]
&\quad = \bigl( -a^{\scriptsize{2}}+2a \bigr)-a \\[ 10pt ]
&\quad = -a^{\scriptsize{2}}+a \\[ 10pt ]
&\quad = -a \bigl( a-1 \bigr) \\[ 10pt ]
&\text{$0 \lt a \lt 1$ より} \\[ 10pt ]
&\quad -a \bigl( a-1 \bigr) \gt 0 \\[ 10pt ]
&\text{であるので} \\[ 10pt ]
&\quad ab-a \gt 0 \quad \text{すなわち} \quad a \lt ab
\end{align*}

2番目と3番目に小さいものを比較します。

差を作って式の大小を比較する(その2)
\begin{align*}
&\text{[2]} \\[ 10pt ]
&\qquad \frac{a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}}}{2} -ab \\[ 10pt ]
&\quad = \bigl( a^{\scriptsize{2}}-2a+2 \bigr) – \bigl( -a^{\scriptsize{2}}+2a \bigr) \\[ 10pt ]
&\quad = 2a^{\scriptsize{2}}-4a+2 \\[ 10pt ]
&\quad = 2 \bigl( a^{\scriptsize{2}}-2a+1 \bigr) \\[ 10pt ]
&\quad = 2 \bigl( a-1 \bigr)^{\scriptsize{2}} \\[ 10pt ]
&\text{$0 \lt a \lt 1$ より} \\[ 10pt ]
&\quad 2 \bigl( a-1 \bigr)^{\scriptsize{2}} \gt 0 \\[ 10pt ]
&\text{であるので} \\[ 10pt ]
&\quad \frac{a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}}}{2} -ab \gt 0 \quad \text{すなわち} \quad ab \lt \frac{a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}}}{2}
\end{align*}

3番目に小さいものと最大のものを比較します。

差を作って式の大小を比較する(その3)
\begin{align*}
&\text{[3]} \\[ 10pt ]
&\qquad b- \frac{a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}}}{2} \\[ 10pt ]
&\quad = \bigl( 2-a \bigr) – \bigl( a^{\scriptsize{2}}-2a+2 \bigr) \\[ 10pt ]
&\quad = -a^{\scriptsize{2}}+a \\[ 10pt ]
&\quad = -a \bigl( a-1 \bigr) \\[ 10pt ]
&\text{$0 \lt a \lt 1$ より} \\[ 10pt ]
&\quad -a \bigl( a-1 \bigr) \gt 0 \\[ 10pt ]
&\text{であるので} \\[ 10pt ]
&\quad b- \frac{a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}}}{2} \gt 0 \quad \text{すなわち} \quad \frac{a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}}}{2} \lt b
\end{align*}

場合分けの結果をまとめます。

場合分けの結果をまとめる
\begin{align*}
&\text{[1]~[3]より} \\[ 10pt ]
&\quad a \lt ab \lt \frac{a^{\scriptsize{2}}+b^{\scriptsize{2}}}{2} \lt b
\end{align*}

このように、予め予想した大小関係について、左から順序よく調べていくと3通りだけで済んでしまいます。組み合わせのうち半分は、比較しなくてもよい組み合わせだったことが分かります。

式の大小比較の手順をまとめると、以下のようになります。

式の大小比較の手順

  1. 条件を満たす数を式に代入する。
  2. 式の値から、式の大小関係を予想する。
  3. 条件を利用して文字を減らす。
  4. 残った文字の範囲を求める。
  5. 予想をもとに、式の大小を比較する。

式の大小比較では、答案に記述する前の下準備がとても重要です。効率よく大小を比較するためにも、大小関係の予想を必ずやっておきましょう。

次は、式の大小比較を扱った問題を実際に解いてみましょう。

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