数列の極限|漸化式と極限 -極限値を視覚的に見よう-

数学3

漸化式と極限 極限値を視覚的に見よう

漸化式の扱い方

漸化式は、隣り合ういくつかの項の関係を表す等式のことです。漸化式から数列の一般項を求める問題はよく出題されます。

隣接2項間の漸化式

漸化式の形から変形の仕方が決まっているので、変形の仕方を覚えることが大切です。

たとえば、よく出題される隣接2項間の漸化式を例に挙げます。

数列{an}の漸化式

\begin{align*} &a_{n+1} = pa_{n} + q \\[ 7pt ] &\quad ( p \ , \ q \ \text{は定数} \ , \ p \neq 1 ) \end{align*}

この漸化式を変形すると、数列{an}から新しい数列{an-α}の漸化式になります。

数列{an-α}の漸化式

\begin{align*} &\quad \alpha = p \alpha + q \\[ 7pt ] &\text{を満たす $\alpha$ に対して} \\[ 5pt ] &\quad a_{n+1} – \alpha = p \left( a_{n} – \alpha \right) \end{align*}

漸化式において、n+1=an=αのときに得られるα=pα+qのことを特性方程式と言います。この特性方程式の解αの値を使って、漸化式を変形します。

変形した後になると、数列{an}の漸化式ではなく、数列{an-α}の漸化式として扱います。

数列{an}から数列{an-α}へ

\begin{array}{c|cccccc} \text{数列 $\{ a_n \}$} & a_1 & a_2 & \cdots & a_n & a_{n+1} & \cdots \\ \hline \text{数列 $\{ a_n – \alpha \}$} & a_1 – \alpha & a_2 – \alpha & \cdots & a_n – \alpha & a_{n+1} – \alpha & \cdots \end{array}

変形後の漸化式は、数列anの各項からαだけ引いた数列{an-α}の関係を表しています。

変形後は別の数列の漸化式

慣れればそのままでも扱えますが、最初のうちはbn=an-αと置き換えた方が扱いやすいでしょう。bn=an-αのとき、bn+1=an+1-αです。

数列{an}から数列{bn}へ

\begin{array}{c|cccccc} \text{数列 $\{ a_n \}$} & a_1 & a_2 & \cdots & a_n & a_{n+1} & \cdots \\ \hline \text{数列 $\{ a_n – \alpha \}$} & a_1 – \alpha & a_2 – \alpha & \cdots & a_n – \alpha & a_{n+1} – \alpha & \cdots \\ \hline \text{数列 $\{ b_n \}$} & b_1 & b_2 & \cdots & b_n & b_{n+1} & \cdots \end{array}

漸化式はbn,bn+1を用いて以下のように表されます。

数列{bn}の漸化式

\begin{align*} &\quad a_{n+1} – \alpha = p \left( a_{n} – \alpha \right) \\[ 7pt ] &b_n = a_n – \alpha \ \text{とおくと} \\[ 5pt ] &\quad b_{n+1} = p b_{n} \end{align*}

数列{bn}の漸化式と見ると、この式は等比数列を表す漸化式です。ですから、数列{bn}は等比数列だと分かります。等比数列では初項と公比が分かれば、一般項を求めることができます。

もとの数列の一般項へ

数列{bn}について、初項はbn=an-αにおいてn=1のときの値なので、b1=a1-αです。また、公比は漸化式からpです。

初項と公比から数列{bn}の一般項を求めたら、bn=an-αに戻ってanを求めます。

数列{bn}から数列{an}へ

\begin{align*} &b_n = a_n – \alpha \ \text{より} \\[ 5pt ] &\quad a_n = b_n + \alpha \end{align*}

漸化式を扱った問題では、一般に、もとの数列{an}は等差数列等比数列ではありません。このままでは一般項anを求めることができないので、別の数列{bn}の漸化式に変形します。

このとき、等差数列や等比数列の漸化式になるように変形するのがコツです。新しい数列{bn}は等差数列や等比数列になっているので、その一般項bnを求めることができます。

一般項bnが分かれば、bn=an-αから数列{an}の一般項anを得ることができます。

漸化式を扱った問題を実際に解いてみましょう。

漸化式を扱った問題を解いてみよう

例題1で扱った漸化式で練習してみましょう。

例題4

\begin{align*} &a_1 = 5 \ , \ a_{n+1} = \frac{2}{3} a_n + 1 \\[ 7pt ] &\quad (n = 1 \ , \ 2 \ , \ 3 \ , \cdots ) \end{align*}

で定義される数列 $\{ a_n \}$ を求めよ。

例題4の解答・解説

特性方程式の解を用いて漸化式を変形します。

例題4の解答例 1⃣

\begin{align*} &\quad \alpha = \frac{2}{3} \alpha + 1 \\[ 7pt ] &\text{とおくと} \\[ 5pt ] &\quad \alpha = 3 \end{align*}

特性方程式の解αの値が分かったら、パターン通り変形します。

例題4の解答例 2⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad \alpha = 3 \\[ 7pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad a_{n+1} = \frac{2}{3} a_n + 1 \\[ 7pt ] &\text{を変形すると} \\[ 5pt ] &\quad a_{n+1} -3 = \frac{2}{3} \left( a_n – 3 \right) \end{align*}

これで数列{an}から数列{an-3}の漸化式に変わりました。

数列{an}から数列{an-3}へ

\begin{array}{c|cccccc} \text{数列 $\{ a_n \}$} & a_1 & a_2 & \cdots & a_n & a_{n+1} & \cdots \\ \hline \text{数列 $\{ a_n – 3 \}$} & a_1 – 3 & a_2 – 3 & \cdots & a_n – 3 & a_{n+1} – 3 & \cdots \end{array}

数列{an-3}の初項と公比を求めます。初項と公比が分かったら、数列{an-3}の一般項を求めます。

例題4の解答例 3⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad a_{n+1} -3 = \frac{2}{3} \left( a_n – 3 \right) \\[ 7pt ] &\text{数列 $\{ a_n – 3 \}$ は等比数列であり、その初項は} \\[ 5pt ] &\quad a_1-3 = 5-3 =2 \\[ 7pt ] &\text{また、公比は $2/3$ なので、数列 $\{ a_n – 3 \}$ の一般項は} \\[ 5pt ] &\quad a_n – 3 = 2 \cdot {\left( \frac{2}{3} \right)}^{n-1} \end{align*}

数列{an-3}の一般項の式を変形すると、数列{an}の一般項を表す式になります。

例題4の解答例 4⃣

\begin{align*} &\quad \vdots \\[ 7pt ] &\quad a_n – 3 = 2 \cdot {\left( \frac{2}{3} \right)}^{n-1} \\[ 7pt ] &\text{よって} \\[ 5pt ] &\quad a_n = 2 \cdot {\left( \frac{2}{3} \right)}^{n-1} +3 \end{align*}

例題のように、等差数列でも等比数列でもない数列の場合、その一般項を別の数列の一般項から間接的に求めます。これが漸化式から一般項を求めるときの基本的な考え方です。

手順をまとめると以下のようになります。

漸化式から一般項を求める手順

  1. 等差数列や等比数列の漸化式になるように、与式を変形する
  2. 変形後の漸化式から新しい数列の一般項を求める
  3. 求めた一般項を変形して、もとの数列の一般項を求める

漸化式の変形は、与えられた漸化式によって異なります。特性方程式を利用した変形の他に、たとえば、両辺を累乗の値で割る変形もあります。

変形のやり方は漸化式によって異なるのですが、「等差数列や等比数列となるように変形する」という考え方は一貫しています。色々な変形パターンがあって面白いので、ぜひチャレンジしてみて下さい。

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